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■行動展北海道地区作家展 (2014年3月3〜8日、札幌)

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(文中敬称略)

 2008年から隔年で毎春に開かれている、行動展北海道地区作家展を、4年ぶりに見た。
 全国的な団体公募展の中でも、筆者がわりあい好感を持って見ている行動美術であるが、今回の第一印象は
「4年ぶりなのに、ぜんぜん変わってないなあ」
というのが正直なところであった。

 もちろん、会員たちの作品は、高い水準で安定しているということができるし、コロコロ変わればいいってもんじゃないだろう。
 ただ、会員の顔ぶれからして、4年前と比べると、岸本裕躬が亡くなって、小笠原実好が会友から昇格した以外、ほかの6人は変わらず。近藤隆志や三箇三郎といった函館の面々が参加していないところまでおんなじである。
(おなじ函館でも石原佑一は毎回出品している)
 ちょっと「変わったな」と思わせたのは、彫刻部門から斉藤康彦が「四つの長方形」「無秩序の中の秩序あるいは秩序の中の無秩序」の2点を出品していたこと。
 コンピュータを用いてランダムな形状を探るという狙いはおもしろい。
 行動美術で、道内から彫刻の作品が出ているのは、初めて見た(過去にあったかどうかも定かでない)。

 絵画は、会員7人、会友8人、一般4人。

 会員はすべて全道展会員でもある。
 「卵型都市」という、空中に都市が浮かぶ空想的な世界を描いてきた斎藤矢寸子「卵型都市−奏でる」が、モティーフの卵型都市が砂漠に不時着したような情景を描いていたのが目新しいと思った。

 また4年前との比較になるが、会友についても、小笠原が会員推挙となり、佐藤静子が一般から会友になり、手塚昌広が新たに登場し、近藤みどりの作品が見られないという四つの事情をのぞけば、あとは、伊藤幸子、菊地章子、北村葉子、佐々木治、星エイ子、松木眞智子の6人は同じである。
 星は、人物などを描いてきたが「愛しい仲間達」は、青と白の飛沫が全面を覆い、モティーフの形状を失っている。
 ベテラン佐々木も、人物を描くことをやめ、静物に移行した。形状は写実に近いが、色彩は明るく、人物画の時代と変わらぬ特徴がある。

 一般では、全道展でも力作を出している和泉よう子「刻の記憶」の2点が、表面にさびた鉄板などを貼り付けるなどして、迫力たっぷりの画面を作っている。下半分の構図しだいでは、より緊張感ある画面になったと思う。
 梅津美香「あれからのこと」は、一見、闇の中の花束のように見えるが、実際には魚や触手、羽根などが織りなす、複雑かつふしぎな物体である。

 出品作は次の通り。
 絵画・会員
石原佑一  ポートレート14-1 (S100)
小笠原実好 残像 (P150)
神田一明  彼女の休日 (F150)
斎藤矢寸子 卵型都市−奏でる (F150)
高橋三加子 刻 - 2013 (F130)
富田知子  箱を持つ女 I (S100)、箱を持つ女II (F50)
矢元政行  樹 A(40×180センチ)、樹 B(46×106センチ)

 絵画・会友
伊藤幸子  夢幻(P150)
菊地章子  メモリーI(F130)、メモリーII(F130)
北村葉子  氷流塊(F150)、ヨミガエル土偶(F120)
佐々木治  静物(青い蝶)(F100)、静物(冬)(F60)
佐藤静子  パンタ・レイ(F130)
手塚昌広  borm.(F130)=同題2点
星エイ子  思考する天使(F150)、愛しい仲間達(F130)

 絵画・一般
和泉よう子 刻の記憶I(F130)、刻の記憶II(F130)
梅津美香  出せなかった答え(F120)、あれからのこと(F120)
中江孝子  射程北緯43度(S100)
松本富治  Sの記憶 I(F120)、Sの記憶 II(F130)

 彫刻・一般
斉藤康彦  四つの長方形(16×64×54センチ) 、無秩序の中の秩序あるいは秩序の中の無秩序(16×22×15センチ)

 
2014年3月3日(月)〜8日(土)午前10時〜午後6時
札幌時計台ギャラリー(札幌市中央区北1西3)A、B、C室

行動展北海道地区作家展 (2010)
行動展北海道地区作家展 (2008)

□行動美術協会 http://www.kodo-bijutsu.jp/

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