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■八子直子展 (2014年5月6〜11日、札幌)

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 八子直子さんは札幌の画家。
 全道展会員であると同時に、同時に「HIGH TIDE」「水脈の肖像」「絵画の場合」といった、ゼロ年代の北海道を代表する大規模な現代美術のグループ展にも参加してきた人である。
 そういう「立ち位置」もさることながら、かなり型破りな方法で絵画を制作しているにもかかわらず、展開しているのは徹底してパーソナルでプライベイトな世界である。そのギャップが、おもしろいと思うし、その「半径3メートル」にでんと腰をすえて制作に取り組んでいることが、彼女の強みなのだと思う。そして、一見、「半径3メートル」性が悟られにくいところも。




 植物のつるのように見えるのは、サクランボの枝だそうだ。

 その下に置かれた不定形の支持体には、娘さんの顔が大きく描かれている。光沢はウレタンニスによるものだが
「この画材、製造中止になっちゃったんです」
と八子さん。

 この一角には、家族の思い出を封じ込めたような作品が目立つ。
 右下の白い立体は、なぜかぐるぐる回転している。




 こちらはキリの箱が支持体。
 うっすらと人の顔が見える。




 古いふすまの向こう側は、画家の地元・南区の山々を題材にした、不定形の絵画が並ぶ。
 支持体の自由さとならんで、実際の地形とは無関係に、表面に規則的につけられた凹凸が、作品に独特のリズムを与えている。




 作品の近くの壁には、カブトムシが貼り付けられている。

 なお、冒頭画像に登場する、娘さんの顔を巨大に描いたふすまは、山鼻地区の古い民家(夫君の実家)で要らなくなったものだそうだ。会場に用意されたいすに座って、見ると、作者が良いと思う角度の低さを、あらためて実感することができる。


 筆者は、札幌芸術の森美術館が企画した「【札幌美術展】Living Art−日常−やさしさは いつもそばに。」の大掛かりな発表も、2011年の個展も見ることができなかっただけに、ようやく胸のつかえが降りた感がある。画家はこれからも、身のまわりを素材に腰を落ち着けて、自分のやり方で制作と発表を続けていくに違いない。



2014年5月6日(火)〜11日(日)午前10時30分〜午後6時半(最終日〜午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)

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