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チQさんに久々に会う ■丸島均と五つの展覧会・続き(2015年2月5~10日、札幌)

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(承前)

 「チQ」というのはずいぶんユニークな名だけど、札幌を拠点に活動する30代男性である。
 最後に会ったのは6、7年前だったと思う。
「北海道の人たちは道内だけで固まりすぎる。もっと外に目を向けたほうがいい」
という趣旨の言葉を残して、本州や沖縄へと旅立っていった。

 それから、北海道に帰ってきたことも知らなかったので、今回「元気展」(このネーミングセンス、どうにかならんかと思うが)に名前があるのを見て、ちょっとびっくりした。

 肉親の死や法事などを契機に、チQさんは仏典をあらためて見直した。
 「ルーツミュージックみたいなもんです」
と言う。
 家は浄土真宗なんだそうだ(北海道には多い)。

 今度の作品は「仏説阿弥陀経」。
 後奈良天皇が書いたものの「カバー」だとチQさんは話す。紺色の字に、金色のマーカーでお経を書いている。
「アゲアゲな感じのフィクション。むかし、インドの修行者たちはすごい修行をしてたじゃないですか。これ、一種のトランス状態で書かれたもんじゃないかと思うんです。ノー・ドラッグで」



 軽快でスピーディーな字を見ていると、これは書の一種としてとらえることも可能かもしれないと思う。
 また、お経は音楽的な側面もあるから、ライブペインティングや音楽活動が多かったチQさんに合っている素材といえるかもしれない。


 左側の作品は、札幌・円山八十八カ所の、チQバージョンとでもいうべきもの。
 仏像を現代的に解釈しなおして描いている。
 黄色い部分は「南無阿弥陀仏」を6回繰り返して書いている。

 これからチQさんは、仏教のポップで自由な部分に目を向けて活動を再開するのだろうか。

 (この項を書いていて、中村元の「仏教には正統とか異端という概念がない」という言葉を思い出した)


 なお、この「元気展」には、佐々木幸、柿崎英樹、越後光詞の3氏も出品している。


 6階の3室は写真が大半だが、なぜか版画の川口巧海さんが「対展」に交じっている。

 丸島さんは昨年も、学生や、大学を卒業したばかりの若手の写真に着目していた。こんなことを書くと失礼かもしれないが、筆者は、かつて足立さんや石川さん、衣斐さん、伊藤さんといった人々が活躍していた時代の札幌の学生写真界を知っているから、近年の学生の写真には、はっきり言ってあまり興味がわかないのだ。
 「対展」という2点1組の写真展は昨年も開いていた。筆者は、こういうテーマ設定の何がおもしろいのか、さっぱりわからないし、こんなテーマをもうけたところでより良い作品が集まるとはとうてい思えない。もっと言ってしまえば、こういうスタイルで外から漠然としたテーマを与えて作品を発表させること自体に何の意味があるのか、全く理解できない。
 


2015年2月5日(木)~10日(火)午前10時~午後7時
アートスペース201 (札幌市中央区南2西1 山口中央ビル5階、6階)


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