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桜田・北見市長の思い出

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 北見市の桜田市長自殺のニュースには本当に驚いた。
 とてもそんなことをする人には見えなかったからだ。



 悲劇は、前回の市長選に始まる。
 保守系の人々が市長候補として桜田さんを擁立するという話を聞いたときは、ほかにも人材はいたから、とうてい本当のこととは思えなかったし、彼がそれを受諾したと聞いたときもびっくりしたし、候補公開討論会で当時の現職市長の落ち着いた話しぶりに比べて浮ついたような、何を言いたいのかわからない語り口を聞いて、これで勝負あったなと思ったのだ。

 しかし、蓋をあけてみれば、桜田さんが当選した。

 当時の現職市長に特段失政があったわけではない。
 ただ、地味だったのと、支持母体の民主党の不人気のあおりをくらってしまったのだった。




 桜田さんは、幼稚園の先生としては、本当に良い先生だったのだろうと思う。

 ただ、市長に打って出るには早すぎた。行政のことをよくわかっていないまま市長になり、一度決まったことを勝手にひっくり返そうとしたりして、その結果、市議会との対立が抜き差しならなくなっていた。




 筆者は、1993年まで北見に住んでいたことがある。
 夏の暑い日、転勤のあいさつ回りで、北4条通りを歩いていたら、幼稚園バスがすぐそばで止まった。
 運転していたのが、桜田さんだった。

 わざわざ、私にあいさつをするために、ハンドルを握っていた幼稚園バスを止めてくれたのだった。

 だから私は、桜田さんは本当はいい人だったと思っている。
 だから、市長なんかにならないで、ずっと幼稚園の先生のまま、あの丸顔で、子供やお母さんたちと笑っていてほしかった。
 


 人間の適性というのは難しいものだと、あらためて思う。
 ご冥福をお祈りします。

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