札幌のデザイナー伊藤千織さんがギャラリーで個展を開くのは、意外にもこれが初めてとのこと。
彼女があちこちで活動しているのは耳にしていたので、びっくりして当ブログの過去記事を検索したら、昨年末の大丸藤井スカイホールの企画グループ展「光の抜け道」や、今回と同じギャラリー創が企画した椅子のグループ展、JRタワーが2006年に展開した犬の置物に着彩を施すプロジェクトなど散発的にいくつかの記録はあるが、ほとんど登場していないといっても過言ではない。これはもちろん、自作をひっさげてギャラリーや団体公募展会場などで発表するアーティストと、縁の下の力持ちという役割が大きいデザイナーとの根本的な違いによるものだろう。
日々ギャラリーを回っている立場からすると、グラフィックにしろプロダクトにしろ、デザイナーの仕事をもう少し知りたいなーという気持ちになるのは、たしかである。
今回の個展は「ユポ紙」を素材に用い、さまざまな立体を提案している。
ユポ紙は、投票用紙などでおなじみだろう。
折っても元に戻り、水にも強い。
冒頭画像は、雪の体験マシン。
中のいすに腰掛けて、ところどころに穴をあけたユポ紙を丸めた円筒の内部に入り、円筒をぐるぐる回すと、紙をすかして光が飛ぶように目の前を走り、まるで吹雪が目の前をすぎていくような気分になる。
伊藤さんは、12月の札幌は積雪のない年もあるので、雪の気分を味わってほしいということで、この作品を設置したようだ。
天井からつるして、うまく回転するのは、構造計算のたまもの。
じつは、もう1個、会場奥(南側)に設置するつもりだったが、こちらは断念したという。
驚くのは、このいすも、木のわくにユポ紙を巻いてこしらえたもの。使用しているうちにたわんでくるので、マジックテープ仕掛けで張り直すことができる。
2枚目の画像は、円盤状のユポ紙に、蚊取り線香に似たあんばいで切り込みを入れたオーナメント。
上からつるすと、ゆらゆら揺れる楽しい飾りになるが、簡単に円盤に戻るのがミソだ。
つるすための小さな黒い輪もついている。
壁にうつる影のようすも楽しい。
伊藤さんは、ギャラリーの東側にある階段(屋外とつながっている)の空間にも、この紙で作った飾りをいくつもつり下げた(3枚目の画像)。
筆者はギャラリー創のすべての展示を見ているわけではないけれど、ここまでこの空間を活用した人は初めてだと思う。
さらに、ギャラリーと階段空間のあいだのガラス壁を、斜めに貫通させるような格好で自作のベンチを設置したり、そのガラス壁に、鑑賞者が参加するタイプの作品(ユポ紙のこよりを、好きなかたちで接着させることができる)を展開したりしている。
日没が早く暗い感じがする冬の南9条通とのかかわりを考えたーという伊藤さん。建築ともコラボーレションすることの多いデザイナーならではの視点だと思った。
個人的に今回の展覧会を見ながら考えていたのは、このユポ紙に写真をプリントしたらどうなるのかなあということ。
小樽・鉄路・写真展など、屋外に写真を展示する機会は意外に多い。インクの乗りなど課題はあるだろうけど、試してみるとおもしろいかもしれない。
2018年12月14日(金)~25日(火)午前11時~午後6時(最終日~5時)、18日休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6)
□Chiori design http://chioriito.com/
関連記事へのリンク
■展示とワークショップ 光の抜け道 (2017)
■「JR TOWER 3周年記念イベント ワン! ダフル アートパレード」 (2006)
=いずれも画像なし、ほとんど記述なし
・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分
・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)
・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)
・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分
※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分
彼女があちこちで活動しているのは耳にしていたので、びっくりして当ブログの過去記事を検索したら、昨年末の大丸藤井スカイホールの企画グループ展「光の抜け道」や、今回と同じギャラリー創が企画した椅子のグループ展、JRタワーが2006年に展開した犬の置物に着彩を施すプロジェクトなど散発的にいくつかの記録はあるが、ほとんど登場していないといっても過言ではない。これはもちろん、自作をひっさげてギャラリーや団体公募展会場などで発表するアーティストと、縁の下の力持ちという役割が大きいデザイナーとの根本的な違いによるものだろう。
日々ギャラリーを回っている立場からすると、グラフィックにしろプロダクトにしろ、デザイナーの仕事をもう少し知りたいなーという気持ちになるのは、たしかである。
今回の個展は「ユポ紙」を素材に用い、さまざまな立体を提案している。
ユポ紙は、投票用紙などでおなじみだろう。
折っても元に戻り、水にも強い。
冒頭画像は、雪の体験マシン。
中のいすに腰掛けて、ところどころに穴をあけたユポ紙を丸めた円筒の内部に入り、円筒をぐるぐる回すと、紙をすかして光が飛ぶように目の前を走り、まるで吹雪が目の前をすぎていくような気分になる。
伊藤さんは、12月の札幌は積雪のない年もあるので、雪の気分を味わってほしいということで、この作品を設置したようだ。
天井からつるして、うまく回転するのは、構造計算のたまもの。
じつは、もう1個、会場奥(南側)に設置するつもりだったが、こちらは断念したという。
驚くのは、このいすも、木のわくにユポ紙を巻いてこしらえたもの。使用しているうちにたわんでくるので、マジックテープ仕掛けで張り直すことができる。
2枚目の画像は、円盤状のユポ紙に、蚊取り線香に似たあんばいで切り込みを入れたオーナメント。
上からつるすと、ゆらゆら揺れる楽しい飾りになるが、簡単に円盤に戻るのがミソだ。
つるすための小さな黒い輪もついている。
壁にうつる影のようすも楽しい。
伊藤さんは、ギャラリーの東側にある階段(屋外とつながっている)の空間にも、この紙で作った飾りをいくつもつり下げた(3枚目の画像)。
筆者はギャラリー創のすべての展示を見ているわけではないけれど、ここまでこの空間を活用した人は初めてだと思う。
さらに、ギャラリーと階段空間のあいだのガラス壁を、斜めに貫通させるような格好で自作のベンチを設置したり、そのガラス壁に、鑑賞者が参加するタイプの作品(ユポ紙のこよりを、好きなかたちで接着させることができる)を展開したりしている。
日没が早く暗い感じがする冬の南9条通とのかかわりを考えたーという伊藤さん。建築ともコラボーレションすることの多いデザイナーならではの視点だと思った。
個人的に今回の展覧会を見ながら考えていたのは、このユポ紙に写真をプリントしたらどうなるのかなあということ。
小樽・鉄路・写真展など、屋外に写真を展示する機会は意外に多い。インクの乗りなど課題はあるだろうけど、試してみるとおもしろいかもしれない。
2018年12月14日(金)~25日(火)午前11時~午後6時(最終日~5時)、18日休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6)
□Chiori design http://chioriito.com/
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■展示とワークショップ 光の抜け道 (2017)
■「JR TOWER 3周年記念イベント ワン! ダフル アートパレード」 (2006)
=いずれも画像なし、ほとんど記述なし
・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分
・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)
・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)
・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分
※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分