■公募 第10回茶廊法邑写真展 (2018年12月12～29日、札幌)

　道内でアマチュアの写真グループ展といえば、タンチョウやオオワシ、フクロウなどをとらえたネイチャーフォトに、YOSAKOIソーラン祭り、女の子写真、風景などとおおむね相場が決まっているが、ことしで10回目の節目を迎えた茶廊法邑 さ ろうほうむらの公募写真展は、かなり異色の展示となった。応募全51点中、広義の「古い建物」（その内部も含む)を被写体にした写真が実に43点を数えたのである。
　サッポロファクトリー・レンガ館や旧有島武郎邸、話題のJR苗穂駅旧駅舎、北海道百年記念塔といった有名どころから、名もない廃屋、羽幌炭鉱跡などの廃墟系までさまざまだ。応募要項に「北海道150年の今、『建物を通して様々な思いを浮き彫りにする』」といった文言があったからだと思われるが、人間が写った写真が皆無というのもすごい。


　そんななかで、大賞には神成邦夫さんの「ホームタウン」が選ばれた。
　ほとんどの人が建物そのものにレンズを向けているのに対し、神成さんの写真の中央を占めているのはまだ建物の無い造成地である。遠景にはるか、タワーマンションなどの超高層建築が望まれ、右手には典型的な団地が並ぶなど、新旧の建築がひとつの画面のなかに同居している。このなんともいえない無機質さ、無造作さこそが、北海道の150年を象徴しているようでもあり、出品作の中では際だって批評的な写真であるのは間違いないだろう。あるいは、空虚な造成地に、かつてあった古い建物を幻視している写真といえるのかもしれない。

　なお、茶廊法邑の現行の運営形態では最後となる展覧会である。
　2019年からは貸しギャラリーとして再出発するが、来年以降、この写真展がどうなるかは未定だという。


2018年12月12日(水)～29日(土)午前10時～午後6時、月・火曜休み
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1）


関連記事へのリンク
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■「Photo Session 1006」My White Season (2010)
■PHOTOGRAPH EXHIBITION MOVE 3 part1 (2010)



■環状通東駅から茶廊法邑へのアクセス

・地下鉄東豊線「環状通東駅」2番出入り口から約800メートル、徒歩10分

・札幌駅北口から中央バス「東64 東営業所行き」「東65　東営業所行き」で「本町1条2丁目」降車、約170メートル、徒歩3分
・地下鉄南北線「北18条駅」で、中央バス「東62 本町線　東営業所行き」に乗り継ぎ、「本町2条1丁目」降車、約470メートル、徒歩6分