札幌の人形ユニット「ReguRegu(レグレグ)」による2年ぶりの個展。
前回の個展は、マッドサイエンティストが人造動物の実験に取り組んだまぼろしのテレビ番組という、凝った(そして、背中がゾクゾクしてくるような薄気味悪さのある)設定でしたが、今回は、いつもよりダークさが薄れ、ストレートな感じに人形が並んでいます。
ReguReguの小磯さんによると、まずこの「パペトピア」の歌が最初にできて、それにあわせて人形を作っていったそうです。
それにしても、これはほめるところじゃないかもしれないですが、まんなかのテレビモニターを置いた台が、1960年代の子供向け雑誌に登場する「未来」みたいで、すごくかっこいい。拾ったそうですが。
左右に並ぶのは「ホーンファミリーのパペトピア」。
左の2体が「ココアとミルクティのパペトピア」。
右は「イワンくんのパペトピア」。
そうです。今回の展示では、どれも親のパペットが、じぶんと同じ姿かたちをした小さな子のパペットを操っている―というスタイルになっているのです。
まあ、かわいいっちゃあかわいいのですが、筆者はドッペルゲンガーを思い出して、どうにも怖いのです。
だいたい、親子とかきょうだいって、不思議ですよね。似ているけれど、同じではない。
親は子を自由にできる―と思っていたら、それはまったく大間違いで、操ることなんてとうていできないのです。
しかし、自分が子の立場だったら。誰に操られているのかわからなくて、不安になりませんか。自分は自分をコントロールできているのだろうか。そう思うと、あまり自信がもてません。
この作品群には、そういう不安が内包されているように見えます。
筆者の感じる怖さは、そこらあたりが原因かもしれません。
しかし、この歌で歌われている「小さな自分」というのは、いわゆる「子供」というのとは違いますね。
分身といったほうがいいのでしょうか。
というわけで、一見単なる人形展に見えても、いろいろ考え出すと、けっこう深い世界なのです。
左は「フムペとカムペのパペトピア」。
右は「アサムタンスイダコのパペトピア」。
いずれも、金魚や熱帯魚を飼う水槽の中に展示されているのがユニークです。
とくに左は、気泡が出る装置や水草がセットされて、白い砂利も敷き詰められ、なかなか本格的です。
フェルトって水の中に入れても大丈夫なんですね。
小磯さんによると、水を吸ってかなり重たくなるそう。
大きな水槽を並べて、人形を入れる―という夢もあるそうで、実現したら水族館みたいで楽しそうですが、かなり大変そうです。水を運び入れるだけで、一苦労です。
これまで登場した人形たち勢ぞろいのコーナー。
今回の展覧会にあわせてDVDも発売しましたが、会場販売分はすでに完売していました。
ディスクユニオンの通販で取り扱っています。アマゾンでも。
https://diskunion.net/diw/ct/detail/1007784142
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%91%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%94%E3%82%A2-DVD-ReguRegu/dp/B07JHB8YY1/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1541145676&sr=8-1&keywords=reguregu
「マンドラゴラのパペトピア」。
3年前の展覧会だったけど、これも怖かったなあ。
ほかに「デビルトップのパペトピア」「ラディちゃんのパペトピア」。
平面作品として「ヒキガエルのパペトピア」「木の根のパペトピア」「カラス貝のパペトピア」など。
入り口には、滑車仕掛けの人形がしつらえられ、小磯さんがハンドルを回すと、ご自身に似た人形がタップダンスを踊る趣向もあります。
2018年12月19日(水)~30日(日)午後1~9時、火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)
□ReguRegu サイト http://jurando.web.fc2.com/reguregu/reguregu.html
□ReguRegu日記 http://koiso.blog68.fc2.com/
関連記事へのリンク
■10DAYS CINETOPIA + テンデイズ シネトピア プラス(2017)
■ReguRegu Exhibition #6 人造人間ホーンファミリーの世界 (2016)
■ReguRegu マンドレイクの為の泡のような狂詩曲(2015)
■ぷうちゃんマーチ ReguRegu / 飴屋吉丸 (2014)
ギャラリー犬養への道 (アクセス)
・地下鉄東西線「菊水駅」2番出口から約550メートル、徒歩7分
・中央バス「豊平橋」から約300メートル、徒歩3分
・地下鉄東豊線「学園前駅」から約970メートル、徒歩13分