■札幌大谷大学芸術学部美術学科 卒業制作展 2019(1月23～27日、札幌)

　1階は油彩、版画、立体など、2階はデザイン、映像など。
　やや作品数が少ないような気もするが、これまでポスターのグラフィックに偏っていたデザインが、Vチューバーありゲームデザインありで一気に現代化したのが最大の特徴だと思う。

　油彩では、遊佐あさひさん。マジメな北海道の絵画に、こういう「カワイイ」系の描写を導入するのは、もう時代の要請じゃないかと思うんだけど、継続的に取り組む人がなかなかいない。3点とも、女の子の大きな目が少女漫画のパロディーになっている。
　「メニー」は、女の子が人形？ を頭からむしゃむしゃ食っている場面。かわいらしい図柄と、ゴヤがクロノスを描いた絵を思わせる題材とのギャップが激しい。ギャップといえば、漫画的な題材と、フォーブ的な背景の荒々しい筆づかいのギャップもおもしろい。

　松原明季美さんは「春景」と題した絵を3点。
　描写力はあるが、ごみ捨て場というモチーフはすでに多くの画家が取り上げている。


　版画では三好彩文南さんが、かわいらしい少女と残酷な描写の不思議な組み合わせで、目を引いた。
　あるいは、血にまみれたウサギのぬいぐるみや、月の頭部をした悪魔？ は、分野によってはむしろクリシェに属する表象なのかもしれない(くわしくなくて、すみません)が、それを版画に仕上げるのは、独創力だと思う。

　日本画では横江真季さん「あなたの好きな花はありますか？」「わたしは青い花が好きです」が、丸い支持体を壁面に並べる手法で、印象に残った。

　版画を中心にに、図録と、実際の展示作とに異同がかなりあるのが気になった。


2019年1月23日(水)～27日(日)午前10時～午後6時(最終日～5時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

■札幌大谷大学芸術学部美術学科　卒業制作展 (2018)
■札幌大谷大学短期大学部美術科第44回卒業制作展・第42回修了制作展　同時開催：専攻科1年展・美術科1年展 (2009)
■札幌大谷大学短期大学部美術科 第43回卒業制作展・第41回終了制作展・（同時開催）専攻科1年展・美術科1年展 (2008)