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続き■第6回 群青 -2週間10部屋の展覧会- 【後期】(2019年1月31日~2月5日、札幌)あるいは故郷から遠く離れて

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(承前)

 きのうは時間切れで、6階の一部に言及できなかった。

 6階のA室は「それからの私」、B室は「青息トイキ」と題された写真グループ展。
 冒頭画像は、竹中春奈さんの「h(e)aven」というモノクロ組み写真の一部。

 ごみ捨て場に積み上げられた袋に「LOVE」という文字が書いてある。
 そりゃ、シャッター押すよね。




 木戸瑠美さんはモノクロの4枚組み「いつもと変わらない」(夜の札幌駅前、というか、ESTA前の交叉点を撮っている)と、カラーの組み写真4組。
 題を記していくと、学生とは違った、若さゆえのヒリヒリした感じが伝わってくる。
「なにか違う」
「進めない」
「光はあるのに」
「こんなに空は広いのに」

 「進めない」には、進入禁止の標識が大きくとらえられ、「光はあるのに」では夜の街角に自動販売機の明かりがさみしくともる。


 A室には、岩佐俊宏さん、酒井詞音さん、西口由美恵さん、竹内啓太さん。
 B室には、紺野はるかさん、名畑響さん、永倉理子さんも、それぞれ出品している。





 総じて言えることは、両室で写真を展示している顔ぶれの大半が、数年前まで札幌圏の大学の写真部に所属し、いまは東京や大阪など本州に住んでいるという共通点があることだ。高校を出て、首都圏の大学に進んだ人もいる。

 北海道は大学卒業後の就職先が限られるため仕方ない面はあるのだが、さびしくないと言ったらうそになるだろう。
 学生時代の4年間を東京で過ごした自分の記憶に照らしてみても、札幌から東京に行くと、都市の規模も季節感も景観も何もかもが違う。学生なら長期休暇で長い期間帰省し、リフレッシュすることもできるだろうが、就職しての東京、大阪住まいは、楽しさもある半面、どんなにかたいへんだろうと思ってしまう。
 筆者はそれぞれの作品から、北海道を離れて暮らすホームシックのような感覚を受け取ったが、実際にはそれほどつらいのでもなく、大都市の生活をエンジョイしているのかもしれない。

 どういう考えで、企画者の丸島さんが本州組に声をかけているのか、筆者には正直にいってよくわからない。忙しくてすっかりカメラとごぶさたしている人は出品しなければ済む話だから、それほど深刻に考えるような話ではないのかもしれないし、各自の負担になるわけでもないのだろう。

 ただ、多くの若者がいま抱いているヒリヒリ感はしだいに薄れていくだろう。
 仕事で責任ある地位を任されいっそう忙しくなったり、結婚したり子どもが生まれたりしているうちに、違和感は薄れて、世の中になじんでいく。いつのまにかカメラに自分の心象風景を託すこともなくなっていく。
 それは、ぜんぜん悪いことなんかじゃない。
 むしろ自然なことであって、多くの人がそうならないと、いつまでたっても生きづらいままだし、自分の生きていける場所が見つからないままだ。

 そんな時の移り変わりのなかで、なおも違和感を抱き続け、しかも、それを的確な表現に落とし込める人。
 そういう人を「作家」というのだと思う。
 


2019年1月31日(木)~2月5日(火)午前10時~午後7時(最終日~6時)
アートスペース201(札幌市中央区南2西1 山口中央ビル6階)

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