道庁赤れんがに通じる市道1ブロックをつぶして2014年にオープンした「北3条広場」は、さっぽろ8月祭やフラワーカーペットなどの新しいイベントの舞台となり、大通公園とはまた違った魅力のある街区となっている。
そこで、大通公園などが会場の大イベント「さっぽろ雪まつり」とほぼ会期を同じくして、毛色の異なる催しが毎年開かれているのは興味深い。
個人的に、このユキテラスが偉いな~と思うのは、毎年スタイルを少しずつ変えていること。
ことしは「SNOW MUSEUM」という、氷で囲まれた一角をつくり、その内側と壁に主な作品を集中させた。
開かれた感じに乏しくなる半面、飲食物販コーナーときっちり分かれて、鑑賞に集中しやすくなるという利点があると思う。
冒頭画像は、山内祥太さんの作品。
この写真の作者が持ち上げているのは、雪だるまではなく、軽い白の樹脂製のかたまりらしい/s>。
※上記のセンテンスを一部削除しました。すみません。
2枚目は、スノーミュージアムの外壁。
氷は透明だが、ガラス窓のように完全に透けて見えるわけではない。そこがかえっていい感じになっている。
ただ、これは、造成が大変なのはまちがいない。
この冬は記録的な寒さだったのが幸いしたが、暖冬で氷が解けて、万一壁が倒壊して来場者がけがでもしたら大変なことになるから、おざなりな造り方は許されないのだ。
設計は、建築家の五十嵐淳さん。
丈夫さはもちろん、秘密基地やかまくらに入るときのようなワクワクした感じがわいてくる、良い作品だと思う。
タムラサトルさんの作品だと思う。
雪を載せた水平の板がゆっくりと回転している作品で、上から垂直に設置されている2枚の板のところを数十秒おきに通過する。もし激しい勢いで雪が降っている最中であれば、2枚の板が、その雪を一定程度の高さまで削るという仕組みだ。
まあ、そうは言っても、目に見えて積雪が削られるような雪降りは、めったにあることではない。
この作品の単純さは、シジフォス的な感覚が、私たちが日々行っている雪かきという行為を想起させるところがある。
今村遼佑さんの作品は、スノーミュージアムの一室に、複数のバケツが置かれていた。
その一つの中をのぞき込むと、小さなモニターが入っており、炎の映像が見えた。
こういうことをしたくなる気持ちはわかる。
清岡卓行の詩集に「凍った炎」というのがあった。
異種の概念の組み合わせは、新鮮な感覚を見る人に与える。
小金沢健人さん「雪に埋められたことば」。
雪の壁に、長短の蛍光管が数十本埋められて、並んでいる。
蛍光管が光って美しいが、キネティックアートではないので、それ自体が主題ではないようだ。とはいえ、ことばそのものは読むことができず、見る側の想像にゆだねられた格好になっている。
会期中の2月3日、札幌文化芸術交流センター(SCARTS)で1時間半に及ぶアーティストトークが行われているが、筆者は残念ながら参加していないので、ここのテキストは、話を聞かないで書いたものである。ご諒承ください。
スノーミュージアムとは別個にある作品で、ラップランド大学芸術・デザイン学部と北大工学研究院によるコラボーレション「Suoja」。
ユキテラスのサイトによると、北大がフィンランドのいくつかの大学と提携しており、今回はロバニエミ市にあるラップランド大学との合作に取り組んだ。
Suoja とは、フィン語で「シェルター」の意。
スノーミュージアム内にある作品がいずれも、ひとひねりしたコンセプトを有していたのに対し、こちらは単純に楽しい。
有機的な、曲線をいかしたフォルムなのだ。
子どもたちが、穴から頭を出したりして、はしゃぎまわっていた。
札幌原住民の目から見ると、本州からやって来た現代アート作家の発想というのはいささか奇異にうつることもある。
しかし、そこで
「本州の連中の考えはわからん。北の冬の、ほんとうの厳しさもわからんくせに」
と怒り出すのではなく
「なるほどなあ。こういう考え方もあるのか」
というふうに思った方が、きっと楽しいのではないだろうか。
最後に、サイトからコピペします。
札幌の都心に新たな憩いとにぎわいを創出している「札幌市北3条広場“アカプラ”」。「さっぽろユキテラス」はアカプラを舞台に、“雪と光” をモチーフにして札幌の冬の魅力を発信するプロジェクトです。札幌の冬の寒さはとても厳しく、降り積もる雪は時に厄介者として扱われることもありますが、見方を変えると雪は美しく、このまちならではの特徴と言える大切な資源です。「さっぽろユキテラス」は、その資源をアーティストの創造力で魅力的に演出し、この冬のこの場にしか生まれないサイトスペシフィックな体験を提案します。
5回目となる今年は、アカプラに雪や氷を用いた美術館「スノーミュージアム」が登場します。本物の美術館のように構造物を建築家がデザインし、その美術館の内外には、国内外で活躍するアーティストの作品が展示され、市民や観光客のみなさんに北国ならではの鑑賞体験をしていただきます。また、アイスバーも出現し、軽食や飲み物などをお楽しみいただけます。9日間限りの雪と光でつくられた世界をぜひ体験してください。
出展作家:
小金沢健人[屋外インスタレーション]
今村遼佑、タムラサトル、山内祥太[スノーミュージアム内部]
五十嵐淳[スノーミュージアムデザイン]
ラップランド大学芸術・デザイン学部 × 北海道大学工学研究院[屋外彫刻]
会田大也[雪のプロジェクト]
2019年2月3日(日)~11日(月・祝)正午~午後8時
札幌市北3条広場“アカプラ”(中央区北3西4と北2西4)
□ https://www.sapporoekimae-management.jp/yukiterrace2019/
■−雪と光のプロジェクト− SAPPORO YUKITERRACE さっぽろユキテラス2017
■雪と光のプロジェクト さっぽろ ユキテラス2015
そこで、大通公園などが会場の大イベント「さっぽろ雪まつり」とほぼ会期を同じくして、毛色の異なる催しが毎年開かれているのは興味深い。
個人的に、このユキテラスが偉いな~と思うのは、毎年スタイルを少しずつ変えていること。
ことしは「SNOW MUSEUM」という、氷で囲まれた一角をつくり、その内側と壁に主な作品を集中させた。
開かれた感じに乏しくなる半面、飲食物販コーナーときっちり分かれて、鑑賞に集中しやすくなるという利点があると思う。
冒頭画像は、山内祥太さんの作品。
この写真の作者が持ち上げているのは、雪だるまではなく、軽い白の樹脂製のかたまりらしい/s>。
※上記のセンテンスを一部削除しました。すみません。
2枚目は、スノーミュージアムの外壁。
氷は透明だが、ガラス窓のように完全に透けて見えるわけではない。そこがかえっていい感じになっている。
ただ、これは、造成が大変なのはまちがいない。
この冬は記録的な寒さだったのが幸いしたが、暖冬で氷が解けて、万一壁が倒壊して来場者がけがでもしたら大変なことになるから、おざなりな造り方は許されないのだ。
設計は、建築家の五十嵐淳さん。
丈夫さはもちろん、秘密基地やかまくらに入るときのようなワクワクした感じがわいてくる、良い作品だと思う。
タムラサトルさんの作品だと思う。
雪を載せた水平の板がゆっくりと回転している作品で、上から垂直に設置されている2枚の板のところを数十秒おきに通過する。もし激しい勢いで雪が降っている最中であれば、2枚の板が、その雪を一定程度の高さまで削るという仕組みだ。
まあ、そうは言っても、目に見えて積雪が削られるような雪降りは、めったにあることではない。
この作品の単純さは、シジフォス的な感覚が、私たちが日々行っている雪かきという行為を想起させるところがある。
今村遼佑さんの作品は、スノーミュージアムの一室に、複数のバケツが置かれていた。
その一つの中をのぞき込むと、小さなモニターが入っており、炎の映像が見えた。
こういうことをしたくなる気持ちはわかる。
清岡卓行の詩集に「凍った炎」というのがあった。
異種の概念の組み合わせは、新鮮な感覚を見る人に与える。
小金沢健人さん「雪に埋められたことば」。
雪の壁に、長短の蛍光管が数十本埋められて、並んでいる。
蛍光管が光って美しいが、キネティックアートではないので、それ自体が主題ではないようだ。とはいえ、ことばそのものは読むことができず、見る側の想像にゆだねられた格好になっている。
会期中の2月3日、札幌文化芸術交流センター(SCARTS)で1時間半に及ぶアーティストトークが行われているが、筆者は残念ながら参加していないので、ここのテキストは、話を聞かないで書いたものである。ご諒承ください。
スノーミュージアムとは別個にある作品で、ラップランド大学芸術・デザイン学部と北大工学研究院によるコラボーレション「Suoja」。
ユキテラスのサイトによると、北大がフィンランドのいくつかの大学と提携しており、今回はロバニエミ市にあるラップランド大学との合作に取り組んだ。
Suoja とは、フィン語で「シェルター」の意。
スノーミュージアム内にある作品がいずれも、ひとひねりしたコンセプトを有していたのに対し、こちらは単純に楽しい。
有機的な、曲線をいかしたフォルムなのだ。
子どもたちが、穴から頭を出したりして、はしゃぎまわっていた。
札幌原住民の目から見ると、本州からやって来た現代アート作家の発想というのはいささか奇異にうつることもある。
しかし、そこで
「本州の連中の考えはわからん。北の冬の、ほんとうの厳しさもわからんくせに」
と怒り出すのではなく
「なるほどなあ。こういう考え方もあるのか」
というふうに思った方が、きっと楽しいのではないだろうか。
最後に、サイトからコピペします。
札幌の都心に新たな憩いとにぎわいを創出している「札幌市北3条広場“アカプラ”」。「さっぽろユキテラス」はアカプラを舞台に、“雪と光” をモチーフにして札幌の冬の魅力を発信するプロジェクトです。札幌の冬の寒さはとても厳しく、降り積もる雪は時に厄介者として扱われることもありますが、見方を変えると雪は美しく、このまちならではの特徴と言える大切な資源です。「さっぽろユキテラス」は、その資源をアーティストの創造力で魅力的に演出し、この冬のこの場にしか生まれないサイトスペシフィックな体験を提案します。
5回目となる今年は、アカプラに雪や氷を用いた美術館「スノーミュージアム」が登場します。本物の美術館のように構造物を建築家がデザインし、その美術館の内外には、国内外で活躍するアーティストの作品が展示され、市民や観光客のみなさんに北国ならではの鑑賞体験をしていただきます。また、アイスバーも出現し、軽食や飲み物などをお楽しみいただけます。9日間限りの雪と光でつくられた世界をぜひ体験してください。
出展作家:
小金沢健人[屋外インスタレーション]
今村遼佑、タムラサトル、山内祥太[スノーミュージアム内部]
五十嵐淳[スノーミュージアムデザイン]
ラップランド大学芸術・デザイン学部 × 北海道大学工学研究院[屋外彫刻]
会田大也[雪のプロジェクト]
2019年2月3日(日)~11日(月・祝)正午~午後8時
札幌市北3条広場“アカプラ”(中央区北3西4と北2西4)
□ https://www.sapporoekimae-management.jp/yukiterrace2019/
■−雪と光のプロジェクト− SAPPORO YUKITERRACE さっぽろユキテラス2017
■雪と光のプロジェクト さっぽろ ユキテラス2015