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■外山欽平油絵個展 (2019年4月9~14日、札幌)

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 函館のベテラン画家、外山欽平さん(1937年生まれ)は、毎年4月に札幌で個展を開いている。
 1998年から、アルファベットをテーマにしたシリーズに取り組み始めた。同年は「A」で、毎年順番に1文字ずつ描いている。
 筆者は当初、こりゃいったいなんだろうと思ったが、ジャスパー・ジョーンズが星条旗を描いて絵画作品にしているのだから、別にアルファベットを描いてもかまわないのだ。


 展示作品は「A」のころからF100の大作が12枚。
 これは筆を走らせるのではなく、キャンバスを傾けて表面の絵の具を流す手法で制作されている。

 その他、小品が油彩8点・シルクスクリーン4点、「ピンナップ」と称した紙の小品が13点ある。
 また、天井からつるしたオブジェが3点。
 この構成はここ数年変わっていない。

 アルファベットの文字の色は毎年少しずつ変わっており、今年は黄色とオレンジが多い。

 
 背景の緑は、絵の具が油の成分と色の成分に分離する性質を利用して、雨粒が窓をいっせいにつたうような独特の模様をつくりだしているのが面白い。
 時には、深く澄んだ緑の帯をつくりだしている。
 その独特のマチエールがわかるよう、作品に接近して撮影してみたのがこの画像だ。

「ようやく最近、背景の絵の具をコントロールできるようになってきたね」
と話す外山さんは、してやったりの表情。
 ただ、100号のキャンバスを、右に左に傾けるのは、かなりの重労働であるようだ。


 案内状には次のような文章が載っていた(話はそれるが、外山さんはなかなかの名文家だと思う)。

美術館・博物館等でいつもなら素通りしていたのですが、
時間に余裕があり刀剣・甲冑のところをのぞいて「刃文」にであいました。

ヒエーッと云う感じで、説明に偶然にできて同じものはないとあり、
そこに惹かれてその後は機会がある度に見るようにしていました。
「V」のデッサンをしていて配色を考えている時に、
ひらめいて「刃文」をつかってみようと思いついたのです。

日本人が持っている美に対しての独特の感性があらゆる工芸品にあり
伝統的に受けつがれているのですが、 私はそれを油絵具で表現できるのではないかと考えていて、
アンフォルメルとかアブストラクトの技法が最適だろうとして制作を続けています。

今回は「刃文」の美しさに挑戦し楽しんでいますが、これはどうも「W」にもひきずっていきそうです。

 

 とはいえ「W」が「V」の2倍の労力を要するのはあきらか。
 すでに来年に向けて「W」の制作に取りかかっている外山さんも、大変だとこぼしていた。

 しかし、アルファベットの残る文字は「W」を含めてあと四つ。
 ここまできたのだから、なんとしても「Z」までたどり着いてほしいものだと思う。


2019年4月9日(火)~14日(日)午前10時~午後6時(予定)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)


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第36回北海道抽象派作家協会展(2009年4月)
外山欽平油絵個展(2009年3-4月)

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