会場の入り口に、次のようなテキストが貼ってあった。
誰が書いたのかは、聞き漏らした。
いま札幌で、いわゆる「写真」ではなく、「写真を使った表現」に最も精力的に取り組んでいるふたりの展覧会。
神成かんなりさんはカラー11点。
もともと、道内の各地にレンズを向けながらも、観光パンフレットやネイチャーフォトで見られるような雄大で崇高なイメージの北海道とは正反対の風景を撮り続けてきた神成さん。
写された風景はまさに“anonymous"(無名)というのにふさわしいが、とりわけ今回は、特色のまったくない写真ばかり。
撮影地の見当がつかないし、たとえそれが附記されたところで、ほんとうかどうかを判断する材料もない。
曇天の下、原野や草地、新興住宅地が広がるばかりだ。
しかしそれが、たとえばホンマタカシの「郊外」にも似て、「北海道のリアル」であることを、無言のうちに語っているようだ。
山岸さんの近年の方法論は一貫している。
ファインダーをのぞかずに車窓などからシャッターを押して撮影した映像から、発表のつど選んで、大きくプリントしている。
写真というのはあくまで素材であり、山岸さんにいわせると、画材のようなものだという。
今回は、九州地方で撮った写真などカラー8点。
ピントもブレも関係なく、まるで自動書記のようにオートマチックに切り取られた画像は、人間の意識の原初的な部分に眠っている波動のようにも感じられてくるのだ。
2019年2月14日~19日(火)午前10時~午後7時(最終日~5時)
アートスペース201(札幌市中央区南2西1 山口中央ビル6階)
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