フランク・シャーマンのコレクションについては昨年、道立近代美術館と三岸好太郎美術館で別個に展覧会が行われたが、今春は三つの展覧会が、二つは札幌で、一つは伊達でほぼ同時に開催されている。
これだけの展開ができるということは、言い換えれば、それだけ充実した、量の多いコレクションだということになる。
ここでおさらいしておこう。
昨年、道立近代美術館で開かれた展覧会でのテキストをもう一度引く。
フランク・エドワード・シャーマンは、1945年、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の印刷・出版担当官として来日しました。日本と芸術を愛したシャーマンは、12年に及ぶ日本滞在中、藤田嗣治をはじめ、猪熊弦一郎、伊原宇三郎ら、多くの日本人芸術家と交流をもち、彼らを支援しました。日本を離れた後も親交を続け、多くの写真を撮り、作品をコレクションしました。
1991年にシャーマンが死去した後、その膨大なコレクションは、親しかった河村泳静氏に引き継がれ、現在、北海道の伊達市教育委員会が絵画、写真、書簡など約5,000点の寄託を受け、同市のNPO法人噴火湾アートビレッジで管理しています。
札幌グランドホテル本館内のギャラリーで開かれている今展覧会のタイトル「フジタを救ったアメリカ人」は、戦中の戦争協力を糾弾された藤田嗣治がフランスに戻ろうとした際、フランク・シャーマンがGHQの上層部に掛け合い、当時はまだ自由ではなかった海外渡航が藤田に認められる一因になったというエピソードに基づく。
今回は、シャーマンと藤田の往復書簡(英文)も、日本語訳を添えて展示されている。
(もっとも、フジタが在パリの日本人画家の悪口をつづった部分など、ほんとうに面白い?部分は訳出されていないらしい)
冒頭画像の右端は、新制作協会の重鎮だった脇田和(1908~2005)の「少女」(1936)。
脇田さんの戦前の油彩は残っているものが少なく、河村さんが生前の脇田氏にこの絵を見せたところ、たいそう懐かしがったそうだ。
奥に8点並んでいるのは小樽ゆかりの鬼才版画家、一原有徳のモノタイプ。
ほかにも、有名画家の版画などが並んでいる。
2枚目の画像、右手前は米国の画家ベン・シャーン「盲目の植物学者」。
まだ虹を取り入れる前の、珍しい靉嘔あいおうの初期作品もある。
このほか、池田満寿夫、駒井哲郎、北岡文雄、畦地梅太郎、平塚運一など、戦後日本を代表する版画家たちの作品が勢ぞろい。
会場では、フジタの貴重な銅版画も販売している。
2019年4月5日(金)~5月30日(木)午前11時~午後7時(4月30日と最終日のみ午後5時まで)
※会期中(4月末)、一部展示入れ替えがあります。
グランビスタギャラリーサッポロ(札幌市中央区北1西4 札幌グランドホテル本館)
ちなみに、他の2会場は…
・道立近代美術館 「拝啓、藤田嗣治 様」―フランク・シャーマンと藤田、戦後の交友をめぐって― 3月30日(土)~7月28日(日) 前期は5月26日(日)まで、後期は6月8日(土)から
・だて歴史文化ミュージアム フランク・シャーマンコレクション展 4月3日(水)~5月26日(日)
「だて歴史文化ミュージアム」は伊達市に今月オープンした新しい施設。
フランク・シャーマンのコレクションはここに置かれることになるわけで、近いうちに見に行ってきたいなあ。
なお、なぜ伊達市かというと、河村さんが、同市にアトリエのある写実絵画の第一人者野田弘志さんの知己ーという関係のようです。
関連記事へのリンク
■アートギャラリー北海道 河村泳静所蔵/伊達市教育委員会寄託 フランク・シャーマン・コレクション あるアメリカ人が見た戦後日本美術 (2018)
これだけの展開ができるということは、言い換えれば、それだけ充実した、量の多いコレクションだということになる。
ここでおさらいしておこう。
昨年、道立近代美術館で開かれた展覧会でのテキストをもう一度引く。
フランク・エドワード・シャーマンは、1945年、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の印刷・出版担当官として来日しました。日本と芸術を愛したシャーマンは、12年に及ぶ日本滞在中、藤田嗣治をはじめ、猪熊弦一郎、伊原宇三郎ら、多くの日本人芸術家と交流をもち、彼らを支援しました。日本を離れた後も親交を続け、多くの写真を撮り、作品をコレクションしました。
1991年にシャーマンが死去した後、その膨大なコレクションは、親しかった河村泳静氏に引き継がれ、現在、北海道の伊達市教育委員会が絵画、写真、書簡など約5,000点の寄託を受け、同市のNPO法人噴火湾アートビレッジで管理しています。
札幌グランドホテル本館内のギャラリーで開かれている今展覧会のタイトル「フジタを救ったアメリカ人」は、戦中の戦争協力を糾弾された藤田嗣治がフランスに戻ろうとした際、フランク・シャーマンがGHQの上層部に掛け合い、当時はまだ自由ではなかった海外渡航が藤田に認められる一因になったというエピソードに基づく。
今回は、シャーマンと藤田の往復書簡(英文)も、日本語訳を添えて展示されている。
(もっとも、フジタが在パリの日本人画家の悪口をつづった部分など、ほんとうに面白い?部分は訳出されていないらしい)
冒頭画像の右端は、新制作協会の重鎮だった脇田和(1908~2005)の「少女」(1936)。
脇田さんの戦前の油彩は残っているものが少なく、河村さんが生前の脇田氏にこの絵を見せたところ、たいそう懐かしがったそうだ。
奥に8点並んでいるのは小樽ゆかりの鬼才版画家、一原有徳のモノタイプ。
ほかにも、有名画家の版画などが並んでいる。
2枚目の画像、右手前は米国の画家ベン・シャーン「盲目の植物学者」。
まだ虹を取り入れる前の、珍しい靉嘔あいおうの初期作品もある。
このほか、池田満寿夫、駒井哲郎、北岡文雄、畦地梅太郎、平塚運一など、戦後日本を代表する版画家たちの作品が勢ぞろい。
会場では、フジタの貴重な銅版画も販売している。
2019年4月5日(金)~5月30日(木)午前11時~午後7時(4月30日と最終日のみ午後5時まで)
※会期中(4月末)、一部展示入れ替えがあります。
グランビスタギャラリーサッポロ(札幌市中央区北1西4 札幌グランドホテル本館)
ちなみに、他の2会場は…
・道立近代美術館 「拝啓、藤田嗣治 様」―フランク・シャーマンと藤田、戦後の交友をめぐって― 3月30日(土)~7月28日(日) 前期は5月26日(日)まで、後期は6月8日(土)から
・だて歴史文化ミュージアム フランク・シャーマンコレクション展 4月3日(水)~5月26日(日)
「だて歴史文化ミュージアム」は伊達市に今月オープンした新しい施設。
フランク・シャーマンのコレクションはここに置かれることになるわけで、近いうちに見に行ってきたいなあ。
なお、なぜ伊達市かというと、河村さんが、同市にアトリエのある写実絵画の第一人者野田弘志さんの知己ーという関係のようです。
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