(承前)
1980年代に札幌を拠点に雑誌『美術ノート』をほぼ独力で編集・刊行し、抽象画家としても活動していた佐佐木方斎さん。しばらく沈黙が続いていたが、この数年はぽつぽつと活動を再開しており、今回はまったく新しいシリーズに取り組んでいる。
この「部分群」というシリーズは、大4点、小16点の計20点。
画集の絵を矩形に切り刻み、それを貼り重ねていくという手法をとっている。
小はほとんどがゴッホの作。
「やはり、色がはっきりしてやりやすい」
大は、ゴッホに加え、広重やマティス、ムンクなどもコラージュされている。
諷刺やデペイズマンの効果を狙ったシュルレアリスム風のコラージュでもなければ、元の絵が判別できなくなるほど細かい紙片に切り刻んだものを組み合わせる一般的なコラージュでもない。コラージュというには、元ネタがあからさまだが、かといって元ネタそのものの提出といってしまうには、それぞれの矩形がちょっと小さすぎる。 ありそうでなかったタイプのコラージュだと思う。
しかもここには、ゴッホやムンクへのオマージュは感じられない。
一方で、単純な剽窃でもない。
ゴッホやムンクの印刷物を、絵画の素材として使っているだけである。ファンにとっては、冒瀆と感じられるかもしれない。
しかし、絵画制作がひっきょう絵の具の選択の結果であるならば、この「部分群」も、印刷物を画材として選んでいるという点では一般の絵画となんら変わるところはないわけだ。
これらの作品群が退屈な引用に感じられないのは、それぞれの部品が、斜めに傾けて貼られているのも一因だろう。
なお、会場には、神楽の写真で知られるTさんと、以前写真を撮っていていまは豊平区福住のカフェ&バーのマスターをしているMさんが来ていた。Mさんとお会いするのは2002年7月28日以来、じつに17年ぶりだが、むこうはこちらのことをおぼえていた。驚くほかない。
「だって、ヤナイさん、ぜんぜん変わってないんだもん」
2019年5月12日(日)~25日(土)午前11時~午後6時
ギャラリーT(札幌市東区北25東16)
関連記事へのリンク
■佐佐木方斎展 Hosai's early works (2015)
■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009)
■佐佐木方斎/版画展 抽象画家「格子群」(2006年)
(この項続く)
1980年代に札幌を拠点に雑誌『美術ノート』をほぼ独力で編集・刊行し、抽象画家としても活動していた佐佐木方斎さん。しばらく沈黙が続いていたが、この数年はぽつぽつと活動を再開しており、今回はまったく新しいシリーズに取り組んでいる。
この「部分群」というシリーズは、大4点、小16点の計20点。
画集の絵を矩形に切り刻み、それを貼り重ねていくという手法をとっている。
小はほとんどがゴッホの作。
「やはり、色がはっきりしてやりやすい」
大は、ゴッホに加え、広重やマティス、ムンクなどもコラージュされている。
諷刺やデペイズマンの効果を狙ったシュルレアリスム風のコラージュでもなければ、元の絵が判別できなくなるほど細かい紙片に切り刻んだものを組み合わせる一般的なコラージュでもない。コラージュというには、元ネタがあからさまだが、かといって元ネタそのものの提出といってしまうには、それぞれの矩形がちょっと小さすぎる。 ありそうでなかったタイプのコラージュだと思う。
しかもここには、ゴッホやムンクへのオマージュは感じられない。
一方で、単純な剽窃でもない。
ゴッホやムンクの印刷物を、絵画の素材として使っているだけである。ファンにとっては、冒瀆と感じられるかもしれない。
しかし、絵画制作がひっきょう絵の具の選択の結果であるならば、この「部分群」も、印刷物を画材として選んでいるという点では一般の絵画となんら変わるところはないわけだ。
これらの作品群が退屈な引用に感じられないのは、それぞれの部品が、斜めに傾けて貼られているのも一因だろう。
なお、会場には、神楽の写真で知られるTさんと、以前写真を撮っていていまは豊平区福住のカフェ&バーのマスターをしているMさんが来ていた。Mさんとお会いするのは2002年7月28日以来、じつに17年ぶりだが、むこうはこちらのことをおぼえていた。驚くほかない。
「だって、ヤナイさん、ぜんぜん変わってないんだもん」
2019年5月12日(日)~25日(土)午前11時~午後6時
ギャラリーT(札幌市東区北25東16)
関連記事へのリンク
■佐佐木方斎展 Hosai's early works (2015)
■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009)
■佐佐木方斎/版画展 抽象画家「格子群」(2006年)
(この項続く)