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■浦口護個展「木片図譜 木奇怪々」 (2019年5月28日~6月4日、札幌)

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 浦口さんは札幌の旭ケ丘に住み、木の器やオブジェを作っている。

 今回の出品作は大半が、近くの家で伐採したクリの木が材料。
 漆を塗って拭くーという過程を重ねたものも多い。

 会場の中央部には、木の形を生かしたオブジェが並ぶ。台には、不用になった碁盤や将棋盤を用いているのがおもしろい。
 また、壁面には、壁飾りのようなオブジェも並んでいる。のこ目が入った木片を組み合わせたもので、一輪挿しなどを掛けるのに使えそうだ。


 ところで、この個展を取り上げたのは、浦口さんの作品を紹介するためだが、もうひとつ、会場の紹介という意味がある。

 「旧永山邸」と「旧三菱鉱業寮」は並んで立っていて、中で行き来できる。
 浦口さんの展覧会は、旧三菱鉱業寮のほうの2階和室で開かれている。
 このふたつの建物を見るためだけでも、行く価値はあると思うのだ。

 ことし5月4日、北海道新聞道央版に「時を超える建物たち」という連載のひとつで取り上げられていて、わかりやすい説明があったので引用しておこう。


 旧永山邸は第2代北海道庁長官永山武四郎の私邸として1880年前後(明治10年代前半)に建てられた。和洋折衷住宅の好例とされる。旧三菱寮は、旧永山邸を買収した三菱鉱業(現三菱マテリアル)が1937年(昭和12年)に増築し、社員の宿泊や宴会場として利用された。丸窓など昭和前期のモダンなデザインが特徴的だ。


 和室は、ふだんは地域の人々の会合などに使われているらしく、浦口さんによると、昨年のリニューアルオープン後に美術の展示に使ったのは、ステンドグラスの教室展だけだったという。
 たしかに、壁面やスポットライトがあるわけではなく、ふすまや柱、床などを傷つけないように細心の注意が必要なので(文化財ですから!)、一般の絵画展などには向いていないかもしれない。
 しかし、浦口さんのような工芸・クラフト系など、かなりいろいろ使い道はあるのではないかと感じた。

 さらに料金に注目したい。
 1日借りても2千円ないし3千円である。
 浦口さんの話では、同一の和室を借りるのは最大で4日連続が限度らしく、5日目にはもうひとつの和室に移動しなくてはならないらしい。

 制約は当然あるし、地下鉄駅からはやや歩くが、サッポロファクトリーのすぐとなりだし、雰囲気のある建物だし、使用できる時間も長い。
 展覧会場として候補のひとつになるのではないだろうか。


2019年5月28日(火)~6月4日(火)午前9時~午後9時(最終日~午後4時)、会期中無休
旧永山武四郎邸および旧三菱鉱業寮2階和室(札幌市中央区北2東6)



・地下鉄東西線「バスセンター前」10番出入り口から約640メートル、徒歩9分

・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約540メートル、徒歩7分(札幌駅前、時計台前から現金のみ100円)

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