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上武利 オホーツク小さな旅(82)

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(承前)

 5月26日の遠軽えんがる行きの続き。

 この日の小旅行で筆者がいちばん驚いたのは、丸瀬布まるせっぷから国道や鉄路を11キロ離れた山あいに、武利むりという地区が存在し、盆地の中に家が点在していることであった。
 北海道は広いと、あらためて思う。



 丸瀬布−いこいの森−武利の谷あいを、1日3往復の町営バスが結んでいる。  

 もっとも、武利地区は学校もなくなり、いま残っている公共的な施設はホテル「マウレ山荘」と、簡易郵便局ぐらいのようである。その簡易郵便局の家のご主人が、町営バスのハンドルを握っている。

 夕方、簡易郵便局の前で、女子小学生がひとりバスを降りた。
 母親と姉妹が迎えに来ていた。町営バスは、スクールバスを兼ねているようだ。

 商店と学校がなくなり、木造の廃屋が点在し、簡易郵便局が残っている寂しげなようすは、津別町相生や置戸町勝山といった地区に似ている。
 いずれも、山あいで、林業の集積地だった地区だ。
 武利では製材場などを見つけることができなかったが、場所柄、林業と無関係ではないと思う。

 以前も書いたが、過疎が深刻なのは、それぞれの町村の中心部よりも、第2、第3の集落ではないだろうか。
 筆者も知らない、似たような事情の集落が、道内のあちこちにあるように思っている。

(この項続く) 

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