Quantcast
Channel: 北海道美術ネット別館
Viewing all articles
Browse latest Browse all 12034

■JRタワー10周年記念 JRタワーアートプラネッツグランプリ展 (2013年7月5〜28日、札幌)

$
0
0
 札幌を3年余り離れて暮らしていたせいで、若手・中堅の美術家の中には知らない人が多く、この展覧会でも、初めて聞く名が多数あった。それは、北海道美術ネット別館としてはいかがなものかと思うのだが、なかなか新鮮な気持ちで作品を見ることができた。
 ただ、いくら若手・中堅でも、たとえば小林麻美さんとか會田千夏さんは、もっと前の企画に招待されているので、今回は参加してない。

 で、ごく乱暴にまとめて言ってしまえば
「アンタがそういうのをすきなのはわかった。で、だからどうなの?」
と言いたくなる作品が多かった。
 なんか、外の世界とつながる回路を持っていないというか、内向的というか…。

 印象に残った作品。
 松田郁美(彫刻)「The next view」
 グランプリ受賞作。中が透けて見える鉄の球体。非常にパワフルであると同時に軽快であり、モニュメント的な荘重さを感じさせつつもシャープ。これは、誰が見てもグランプリだろうなあ。

 村上知亜砂(インスタレーション)「色素植物園〜Pigment Botanical Garden〜」
 羊毛を使ったインスタレーションの大作で、或る人が(アニメ「風の谷のナウシカ」に登場する)「腐海」と言っていたが、まさにそんなふう。中に入ると、サルオガセのはびこる深い森に迷い込んだような感覚になる。

 松山幸世 (絵画)「優しい記憶に包まれる」
 支持体をピアノ戦で天井から吊るしている。そこには、なだらかな山と、クマやリスなどの動物たちが描かれ、遠目には「ああ、ペンで描かれた北海道風景か…」と思わせるが、近づいてみると、空には、小鳥のほか、なんだかよくわからない円が100個以上描かれ、重なりながら中に浮かんでいる。地上はびっしりと葉や草の文様のようなもので覆われ、それはクマや鹿、リスの表面までをも覆いつくしている。空間恐怖のような文様の氾濫は、どこか森迫くんを思い出させるが、ポップさはまったくないし、空が開いているので、息苦しさはない。
 この作者は初めて知ったが、不思議な作品だ。

 松浦進  (版画)「monitor screen」
 なんと木製パネル20点組みという大作。
 コラージュ的な感覚に富んでいるが、それぞれの背景が黒く塗りつぶされているためか、単純にノスタルジックであるのとはかなり異なる。また、引用を組み合わせてなにかの象徴や意匠として読み取ってもらおうという意図でもなさそうだ。ただ、どこか昔っぽいユニークな感覚が漂っている。


2013年7月5日(金)〜28日(日)午前10時〜午後7時(入場〜午後6時30分)、会期中無休
プラニスホール(中央区北5西2 札幌エスタ11階)
一般・高大生300円、中学生以下無料

※ 「地下からエレベーター」以外の手段でいくと、大変な時間がかかります。ラーメン共和国/レストラン街(10階)直通エレベーターに地下から乗り、11階まで階段を歩いて上ると、早く着きます。なお、階段を上ると、左手に「関係者以外立ち入り禁止」という看板が見えることがありますが、その脇に、一般の入り口がありますので、臆することなく進みましょう。


□公式サイト http://www.jr-tower.com/topics_detail/493

【告知】の記事へのリンク (出品作家・タイトル一覧、詳細リンクつき)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 12034

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>