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札幌国際芸術祭、経済効果59億円と推計。予想を11億円上回る

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 北海道新聞2014年11月18日付から。
 同日の読売新聞北海道面にも同じ趣旨の記事が掲載されていました。
 以下、引用。

今年7~9月に初めて開催した札幌国際芸術祭について、札幌市などでつくる実行委員会は17日、市内で開いた会合で、経済波及効果が当初見込みを約11億円上回る約59億円だったとの推計値を明らかにした。宿泊や飲食を伴う道外からの来場者の割合が想定より多かったためとしている。

 (中略)経済波及効果の内訳は、来場者の宿泊、飲食、交通費などが43億2800万円、宿泊や飲食に関連する企業の売り上げや、従業員の所得増は計15億7600万円と推計した。

 以上、部分の引用でした。

 芸術祭はお金をかせぐことが第一の目的ではありません。
 子どもが芸術に親しみ、大人が豊かな精神を育むことが大事だと思います。
 とはいえ、税金を使って行う事業ですから、収益にまったく無頓着というわけにもいかないでしょう。

 経済波及効果というのは、それほど厳密に計算されたものではないという人もいます。
 しかし、筆者が個人的に見聞きした範囲でも
「国際芸術祭を見に札幌へ行った」
「芸術祭の期間中はホテルがなかなかとれなかった」
という声をちらほら耳にしましたから、(広義の)観光客の誘致に札幌国際芸術祭が寄与したことは間違いないと思います。
 5億4千万円を国と札幌市が負担し、59億円の効果があったという計算なら、これは経済的にも成功したといえるでしょう。
(もちろん、ことし札幌国際芸術祭を見に来た人は、たとえ芸術祭がなくても札幌を観光に訪れていたかもしれず、59億円まるまるプラスという計算は成り立ちませんが…)。


 筆者がこういうことを書いているのは、ときどき
「税金の無駄遣い」
という批判を目にするからです。
 しかし、投じた税金を大きく上回る経済効果があれば「無駄使い」とはいえないでしょう。
 短期的には、地元企業が潤えば税収が増えるでしょうし、長期的には札幌のイメージアップにつながります。
 「税金の無駄遣い」
と言う人には
「じゃあ、何に使えば無駄遣いじゃないの?」
と聞いてみたい気もします。

 税金の使い道として、ここでは、必要不可欠な経費や社会福祉はのぞきます。
 となると、使い道で思いつくのは、土木・建築などの公共事業です。
 たとえば昔は、道路をつくる事業は、リターンの多い事業でした。住民は便利になるし、近道ができれば燃料費は節約できるし、土木建設業者は仕事にありつけました。造るのに要したお金の数倍の効果があったといわれます。

 ですが、このリターンはどんどん小さくなってきています。
 人や車がどんどん通るような、必要不可欠な道路は、あらかた整備が済んでおり、今後できる道路は、あまり多くの交通に期待できません。つまり、道路がとおる土地を持っている人と、土木建設業者以外には、あまりお得感がないということです。
 これからは、文化事業のお得感が相対的に高まってくると思われます。

 文化面で創造性の高い人材こそが、工場や炭鉱よりも、21世紀の付加価値を生むのだと思いますが、そういう人材は、人種や性差や前衛芸術に寛容で、美術館や芸術祭といった「文化的インフラ」が整備されている都市に集まってくるでしょう。
 おそらく、シリコンバレー=サンフランシスコ、ニューヨークといった都市は、そういう意味での「勝ち組」といえるでしょう。


 話を戻します。
 最初に述べたように、芸術祭はお金もうけが第一目的ではありません。
 しかし「アートに税金を使うのはムダでしかない」というのは、じつは現実にそぐわない認識といえるでしょう。
(このセンテンス、言い回し修正しました)

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