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■メタ佐藤写真展「光景」 (2014年10月7~19日、札幌) ※一部字句を直しました

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 困った。

 この写真展を、どのように評価したらいいのか。

 あらかじめ言っておくけれど、メタ佐藤氏は、札幌でも相当にとんがった写真を撮る。
 2008年には、キヤノン写真新世紀の佳作にも選ばれている。
 札幌で、とんがってる方の3人(竹本英樹/メタ佐藤/アキタヒデキ)で「三角」というリトルプレスを発刊したり、北川陽稔さんや藤倉翼さんと「重力と虹」というグループ展を開いたり、意欲的な活動を展開している。

 いま「とんがってる」と書いた。

 これを、わかりやすく説明するのは難しい。

 地方のアマチュア写真家による月例写真会で、若い女性モデルを使って撮影したような写真でもなければ、北海道らしい大自然や動物の決定的瞬間をとらえた写真でもない、というのはたしかである。
 会場の2階に、手製の写真集が置いてあった。
 東京と札幌の、おもに路上で撮ったスナップを、モノクロでプリントアウトしたものだ。
 題名は、フランス現代思想のミシェル・フーコーの術語から取ったものだと聞いたが、メモをするのを忘れてしまった。
 ほんとうに、ただのスナップなんだけど、1枚1枚の構図の確かさといい、場面転換の鮮やかさといい、全くもって見事としかいいようのない写真集なのだ。

 ただ、こういう写真の造形美を、正面から評価する風習が、現代の日本にはあまりない。
 いや、筆者が知らないだけかもしれないが。思い出すのは、清水譲による森山大道評ぐらいか。
 構図の確かさなどを批評するのはけっこう勇気がいる。だから、批評する側も撮る側も、テーマを設定する。それによりかかって語る方が楽だからだ。もちろん、それだけが理由ではないだろうけど(とくに、撮る側は、撮りたい対象があるのだろうし)。

 
 つまりメタ佐藤さんの写真は、理屈抜きで、良い写真なのだ。

 しかし、彼は、どちらかというと、理屈が非常に好き、というか、かなりきっちりと理論武装してシャッターを押すタイプだと思う。哲学的な裏付けを考えるという点では、道内の写真家でも屈指といえるかもしれない。

 今回の写真展は、冬の桜山を題材にしている。
 桜山とは、南区にある丘陵地である。地下鉄南北線で真駒内まで行くと、裏手が原始林になっていて驚かされるが、あれが桜山である。南北に細長く、幅はあまりない。

 メタ佐藤さんは毎晩、桜山に通った。そして、朝の光をいったんフィルムにつかまえたものを、夜に解放した、という。
 テーマは「光の視覚化」。

 だから、どのプリントにも、薄暗い景色の中に、虹のような光が、写っている。

 筆者はそれについて述べられたテキストを、pdfファイルを含め読んだ。
 だが、筆者の頭が悪いせいなのか、いまひとつのみ込めない。

 だいたい、光なんて、わざわざ「視覚化」しなくたって、視覚でとらえられるものではないのか。

 何か仕掛け(というと言葉は悪いが)を施さないと、単なる風景写真になってしまうという危惧がどこかにあったのは、理解できる。
 ただ、さっきも書いたとおり、メタ佐藤さんの写真は、とくに理論や仕掛けのプラスアルファがなくても、立派に通用する写真だと、筆者には思えるのだ。

 とはいっても
「写真家には理屈なんて不要なんだ!」
などと、昔の体育会系写真家みたいに断言するつもりは全くない。
 現代美術などと同じフィールドで勝負しようとするのであれば、むしろ理論武装はどんどんするべきなのだ。

 というわけで、この写真展は、どうやってまとめたらいいのか、ずっと困っているのである。
 しかし、いつまでも放っておくわけにもいかないので、いったんアップすることにした。


2014年10月7日(火)~19日(日)午前11時~午後7時、月曜休み
temporary space (北区北16西4)


http://metasato.com/

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