会場に入ると、見覚えのある絵が、目に飛び込んできました。
冒頭画像の左は「釣果~遠い日」。
板に水彩テンペラで描かれた、30号大の作品です。
今年、石狩市厚田区で開かれた「北の海」厚田アクアレール第4回水彩画展で、見事大賞に輝きました。
波打ち際で水着姿の女の子二人が、うつむいて赤や黄色の小さなバケツをのぞき込んでいる情景を描いています。小さな魚や生き物をどのくらいつかまえたのか、見くらべているのでしょう。
最初に厚田で見た際にも思いましたが、女の子の表情が見えないのが効果を挙げています。
顔が見えないので、見る側がいろいろな記憶を引き出しやすいのです。人物画では異例ですが、むしろ多くの共感が得られそうです。
作者は札幌の福田悠野さん。「そうなんです。顔を描くと、この子かわいいねとか、見る人がそういうことばかりに気をとられてしまうので、あまり顔は出さないようにしています」
会場を見渡すと、幼い子を描いた絵が多いのですが、正面からとらえた構図はありません。
写真を参考にはしていますが、背景の海と手前の人物は別の場面を合成しているとのこと。
「泡を描きたかったんです」と福田さん。
(ここで、宮川美樹さんの話になる)
右側は「漁り ~遠い日~」。
女の子がひとりで、浮き輪をはめたまま海辺にすわっているのを横向きにとらえています。
こちらは同じコンクールの第3回で、大賞に次ぐ優秀賞を得ました。
同じく、水彩テンペラで板に描かれており、2点とも石狩市厚田区の所蔵です。
「漁すなどり」の方は、前景の大小の石や岩がたいへんリアルに描かれています。
「わたしが初めて描いた絵です」
という作者のことばが信じられないほどです。
それに比較して「釣果」のほうは、ちょっと色鉛筆を思わせる淡い色合いで、一瞬「漁り」のほうが上手に見えますが、「釣果」は作者ならではの筆遣いが駆使され、実はこちらが進歩しているといえます。
福田さんは星槎道都大の3年生。
テンペラのほか、授業で取り組んだシルクスクリーン、銅版画、リトグラフ、日本画の作品もあり、2年生までは専攻に属さず幅広く美術を学ぶ同大の特性を生かし、幅広い技法の絵や、トートバッグなども並んでいます。
2枚目画像の左側は「歩み」。
ことしの道展U21出品作です。
若いのに、ノスタルジックな画面をつくるのが得意なんだなあ。
会場を出てから気づいたのですが、福田悠野さんは今年のナカジプリンツにも出品していました。
2018年12月11日(火)~16日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
■「北の海」厚田アクアレール第4回水彩画展 (2018年7月)=画像なし