(承前)
前項で書いたとおり、1階の奥の部屋は若手が多いこともあって、たくさん写真を撮ったのはいいが、どれが誰の作品なのか見当がつきません。
このあたりは唯一1年生で、個展形式で作品をたくさん並べていた遠藤真南さんではないかと思います。
左は「愛する 俯瞰する」。
前項で述べたとおり、2人が向き合っているさまを真横からとらえた、なぜか今回の展示で多いパターンの図柄です。
右のテキスタイルは「ぱぱぱんつ」「ぱぱぱぱんつ」「ぱぱぱぱぱんつ」のうちの2作。
次の画像は、左が「はまなす」。次が「おちるはな」。
中島ゼミの本流であるシルクスクリーン版画に、手彩色で色をつけています。
これは、中島ゼミではほかに松浦進さんぐらいしか思い当たりませんが、彼とは見た目がまったく異なり、おだやかな画面になっています。
ほかの作品は次のとおり。
「夕焼け色のちょうちょ」「ちょうちょ」
「おちるはなTシャツ」「藍染サルエルパンツ」「あおいろワンピース」
「雨の記憶」「どくどくはまなす」「ラナンキュラス」「御柳林」「空の恵み」
堀切健太さん(2018年卒)。
右側は、10枚の紙をつなげた「被曝国家」。
モティーフは定かではありませんが(化石化した森のようにも見える)、底知れぬパワーを秘めた大作です。色も灰色系統に抑え、重々しさを出しています。
たしか以前、さいとうギャラリーで展示していた記憶があります。
このほか「舟のゆくところ」「川崎工業地帯」。
このあたりから、誰の作品なのか、記憶がどんどんあやしくなってきます。
次の画像、右側には「真実のマコト」という漫画の原画が貼ってありますが、作者名の表記がありません。
この作品は「週刊少年ジャンプ」で「JUMP新人トレジャー賞」を受賞し、以前、ギャラリー犬養にあったので読みましたが、なかなかおもしろかったです。おそらく、この春卒業した新屋崎さんと思います。
その左側にあるのは、おなじく2018年卒の津田真里那さん。
「ミツリン」「服のようなもの」のほか、「夏の夢」は4枚組みです。
緑と黒で仕上げたこの作品は、門脇千明さん(2018年卒)の「message」でしょうか。
クマがぜんまい仕掛けの車を運転するにぎやかな都市の風景を描いた、ポップで楽しい作品です。ワニの上に乗って移動している人もいます。
よく見ると、背後のビルが筆記用具立てになっています。右上には、コインランドリーが並んでいて、洗濯物も干してあります。これがのっかっているのは、巨大なクジラのようにも見えます。
大きさをあえて非現実的にして、迷宮にも似た感覚を表現し、単なるかわいいクマのイラストではない不思議な世界をつくりだしています。
それともこれは、おもちゃの街、机の上の街なのかもしれません。
門脇さんの「message」と題した作品は、他に2点あります。
また、題の表示のない作品も1点。
となると、門脇さんの右側に並んでいるのは、2018年卒の棚上吉さんということになります。
ただし、一昨年の中島ゼミ展で発表したモノタイプの抽象的な作品とは、かなり画風が異なります。
「就寝後」と題した10点組みのほか「孤高」「コミュニティー」「風来坊」「そびえたつもの」。
題のないのも1点。
こちらは3年生の村田恵美さんのコーナー。
祖父の古い写真をもとにしたシルクスクリーン。
光のあたっている部分と、影になっている部分の2版を紙で作ったとのこと。版どうしの微妙なズレが、おもしろみを画面に与えています。
浴衣の部分は段ボールを別に使用し、マチエールに変化を与えています。
それにしてもお祖父さん、若いころはなかなかイケメンだったようです。
「偉丈夫」「昔覚ゆ」「枝を交はす」「男前」「まなざし」が出品されています。
となると、こちらも村田さんかな~。
紙を使用したシルクスクリーンは、いまは京都の大学で教えているOBの石井誠さんが編み出した技法で、その後の中島ゼミにかなりの数の追随者が出たようです。
抽象的な模様や、ロープのような意匠など、さまざまなことを試みています。
左は「陰口」。
ほかに「日常」「縺れ」「淀」「膚」「劣等感」。「性情」という10枚組みもありました。
こちらは、すでにさいとうギャラリーで個展を開くなど、さかんに制作を続けている3年生の上村塁さんのコーナーだと思います。
上村さんは「Daily series」と題した小品12点を並べています(右側)。1日1点、新作を作っていこうという、すごい意気込みを感じます。
画像の左は「Silent」「Betryed Tha Sun」。
このほかの出品作は次のとおり。
「Unit」「Mono」「Real」「ポレロクモ」
「Bulb Line」「Liquid」「アンコンシャス」「Logic」
「青の侵略」「大河」「水月」「名残雪」
「青の侵略」は人物と青い色面を組み合わせた作品で、先の個展でも目を引いていましたが、全体を通してみると具象的なイメージが描かれている作品はほかには少なく、シャープさの光る抽象作品がメインのようです。
あれれ、1階の奥にもテキスタイルのコーナーなんて、あったっけ?
この写真で右側に並んでいる黒い、イカや干したシシャモの模様の作品は、工藤悠さんのように思えますが、会場でいただいた図録には、最初の大部屋にしか名前が載っていません。
山口哲史さん(1998年卒)は「時卵ときたまご」という、卵をアクリルケースに入れただけのシンプルな作品。
殻に入った卵なのに溶き卵だよ~という駄洒落でしょうか。
これまで名前が挙がっていない人を記しておきます。
北道由樹さん(2004年卒) 「鳥シリーズ A」「鳥シリーズ B」「鳥シリーズ C」「鳥シリーズ D」と、題の表記のない14点
樋口真衣さん(2005年卒) 2点(題の表記なし)
橋口潤平さん(同) 5点(題の表記なし)
今田記史さん(同) 「木」「スキー」「ソウイウフウニ」
伊東あい子さん(1年) 「死はすべてを平等にする」「愉快な仲間」(3枚)「ゆめかなう」「神様(笑)」
児玉侑佳さん(同) 「黒猫」「ラリウザ」ほか1点
谷口進吾さん(同) 「Haloween Night」
諸本河奈さん(同) 「白灯蛾」「あいすくりーむ」「夢魔」
目録には石山愛華さん(1年)の名もあるんだけど、作品はどこにあったんだろう。ごめんなさい。
このほか、ゼミ所蔵作品を部屋いっぱいに並べたコーナーや、歴代の告知ポスターのコーナーもありましたが、とりあえずこれで1階はおしまい。
次項から2階の紹介にうつります。
2018年12月5日(水)~9日(日)午前10時~午後7時(最終日午後6時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
関連記事へのリンク
■第8回有限会社ナカジテクス(2017)
=門脇さん出品
(この項続く)
前項で書いたとおり、1階の奥の部屋は若手が多いこともあって、たくさん写真を撮ったのはいいが、どれが誰の作品なのか見当がつきません。
このあたりは唯一1年生で、個展形式で作品をたくさん並べていた遠藤真南さんではないかと思います。
左は「愛する 俯瞰する」。
前項で述べたとおり、2人が向き合っているさまを真横からとらえた、なぜか今回の展示で多いパターンの図柄です。
右のテキスタイルは「ぱぱぱんつ」「ぱぱぱぱんつ」「ぱぱぱぱぱんつ」のうちの2作。
次の画像は、左が「はまなす」。次が「おちるはな」。
中島ゼミの本流であるシルクスクリーン版画に、手彩色で色をつけています。
これは、中島ゼミではほかに松浦進さんぐらいしか思い当たりませんが、彼とは見た目がまったく異なり、おだやかな画面になっています。
ほかの作品は次のとおり。
「夕焼け色のちょうちょ」「ちょうちょ」
「おちるはなTシャツ」「藍染サルエルパンツ」「あおいろワンピース」
「雨の記憶」「どくどくはまなす」「ラナンキュラス」「御柳林」「空の恵み」
堀切健太さん(2018年卒)。
右側は、10枚の紙をつなげた「被曝国家」。
モティーフは定かではありませんが(化石化した森のようにも見える)、底知れぬパワーを秘めた大作です。色も灰色系統に抑え、重々しさを出しています。
たしか以前、さいとうギャラリーで展示していた記憶があります。
このほか「舟のゆくところ」「川崎工業地帯」。
このあたりから、誰の作品なのか、記憶がどんどんあやしくなってきます。
次の画像、右側には「真実のマコト」という漫画の原画が貼ってありますが、作者名の表記がありません。
この作品は「週刊少年ジャンプ」で「JUMP新人トレジャー賞」を受賞し、以前、ギャラリー犬養にあったので読みましたが、なかなかおもしろかったです。おそらく、この春卒業した新屋崎さんと思います。
その左側にあるのは、おなじく2018年卒の津田真里那さん。
「ミツリン」「服のようなもの」のほか、「夏の夢」は4枚組みです。
緑と黒で仕上げたこの作品は、門脇千明さん(2018年卒)の「message」でしょうか。
クマがぜんまい仕掛けの車を運転するにぎやかな都市の風景を描いた、ポップで楽しい作品です。ワニの上に乗って移動している人もいます。
よく見ると、背後のビルが筆記用具立てになっています。右上には、コインランドリーが並んでいて、洗濯物も干してあります。これがのっかっているのは、巨大なクジラのようにも見えます。
大きさをあえて非現実的にして、迷宮にも似た感覚を表現し、単なるかわいいクマのイラストではない不思議な世界をつくりだしています。
それともこれは、おもちゃの街、机の上の街なのかもしれません。
門脇さんの「message」と題した作品は、他に2点あります。
また、題の表示のない作品も1点。
となると、門脇さんの右側に並んでいるのは、2018年卒の棚上吉さんということになります。
ただし、一昨年の中島ゼミ展で発表したモノタイプの抽象的な作品とは、かなり画風が異なります。
「就寝後」と題した10点組みのほか「孤高」「コミュニティー」「風来坊」「そびえたつもの」。
題のないのも1点。
こちらは3年生の村田恵美さんのコーナー。
祖父の古い写真をもとにしたシルクスクリーン。
光のあたっている部分と、影になっている部分の2版を紙で作ったとのこと。版どうしの微妙なズレが、おもしろみを画面に与えています。
浴衣の部分は段ボールを別に使用し、マチエールに変化を与えています。
それにしてもお祖父さん、若いころはなかなかイケメンだったようです。
「偉丈夫」「昔覚ゆ」「枝を交はす」「男前」「まなざし」が出品されています。
となると、こちらも村田さんかな~。
紙を使用したシルクスクリーンは、いまは京都の大学で教えているOBの石井誠さんが編み出した技法で、その後の中島ゼミにかなりの数の追随者が出たようです。
抽象的な模様や、ロープのような意匠など、さまざまなことを試みています。
左は「陰口」。
ほかに「日常」「縺れ」「淀」「膚」「劣等感」。「性情」という10枚組みもありました。
こちらは、すでにさいとうギャラリーで個展を開くなど、さかんに制作を続けている3年生の上村塁さんのコーナーだと思います。
上村さんは「Daily series」と題した小品12点を並べています(右側)。1日1点、新作を作っていこうという、すごい意気込みを感じます。
画像の左は「Silent」「Betryed Tha Sun」。
このほかの出品作は次のとおり。
「Unit」「Mono」「Real」「ポレロクモ」
「Bulb Line」「Liquid」「アンコンシャス」「Logic」
「青の侵略」「大河」「水月」「名残雪」
「青の侵略」は人物と青い色面を組み合わせた作品で、先の個展でも目を引いていましたが、全体を通してみると具象的なイメージが描かれている作品はほかには少なく、シャープさの光る抽象作品がメインのようです。
あれれ、1階の奥にもテキスタイルのコーナーなんて、あったっけ?
この写真で右側に並んでいる黒い、イカや干したシシャモの模様の作品は、工藤悠さんのように思えますが、会場でいただいた図録には、最初の大部屋にしか名前が載っていません。
山口哲史さん(1998年卒)は「時卵ときたまご」という、卵をアクリルケースに入れただけのシンプルな作品。
殻に入った卵なのに溶き卵だよ~という駄洒落でしょうか。
これまで名前が挙がっていない人を記しておきます。
北道由樹さん(2004年卒) 「鳥シリーズ A」「鳥シリーズ B」「鳥シリーズ C」「鳥シリーズ D」と、題の表記のない14点
樋口真衣さん(2005年卒) 2点(題の表記なし)
橋口潤平さん(同) 5点(題の表記なし)
今田記史さん(同) 「木」「スキー」「ソウイウフウニ」
伊東あい子さん(1年) 「死はすべてを平等にする」「愉快な仲間」(3枚)「ゆめかなう」「神様(笑)」
児玉侑佳さん(同) 「黒猫」「ラリウザ」ほか1点
谷口進吾さん(同) 「Haloween Night」
諸本河奈さん(同) 「白灯蛾」「あいすくりーむ」「夢魔」
目録には石山愛華さん(1年)の名もあるんだけど、作品はどこにあったんだろう。ごめんなさい。
このほか、ゼミ所蔵作品を部屋いっぱいに並べたコーナーや、歴代の告知ポスターのコーナーもありましたが、とりあえずこれで1階はおしまい。
次項から2階の紹介にうつります。
2018年12月5日(水)~9日(日)午前10時~午後7時(最終日午後6時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
関連記事へのリンク
■第8回有限会社ナカジテクス(2017)
=門脇さん出品
(この項続く)