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■本田明二展 ひとノミ、ひとノミ、私は 木を削る。 (2018年11月2日~19年1月17日、札幌)

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 戦後道内を代表する彫刻家のひとり、本田明二の業績を、わかりやすくまとめた回顧展。
 多くの人に見てほしい展覧会だ。

 本郷新記念札幌彫刻美術館は折に触れて、彼の作品を展示してきたが、本郷新などとセットの場合が多く、個展を開いたことはない。
 他の美術館でも、1991年の札幌・芸術の森美術館、2010年の中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館で開かれただけだから、これほどたくさんの作品をまとめて見たのは、実は筆者も初めてだ。

 図録の文章も、簡にして要を得た紹介になっていて、勉強になった。
 マリノ・マリーニやヘンリー・ムーアからの影響の大きさについても、きちんと書いてある。

 驚いたのは、巻末の参考文献一覧。
 かなり細かく網羅している。
 北海道新聞夕刊オホーツク版の連載記事までリストアップしているとは、思わなかった。
 察しの良い読者はお気づきかもしれないが、これは筆者がオホーツク管内の野外彫刻を写真付きで紹介した連載である。地方では夕刊を講読していない人が多いので、正直言って、この連載が関係者の目にとまるとは予想していなかった。



 さきほど「セット」と言ったが、旧制札幌二中(現札幌西高)の卒業生である本田と、本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の4人を指す。
 そして、他の3人がいずれも上京して活動の場を求めたのに対し、本田は一貫して札幌に居を構え、他の3人が道内で仕事をする際の良いパートナーであったことが、大きい意味をもっている。

 たとえば、札幌・真駒内の五輪大橋附近の野外彫刻群はこの4人が手がけている。
 
 展覧会は

01 木と向きあう
02 北の生命を象かたどる
03 造形に遊びを求めて
04 素顔の彫刻家

の4部構成になっている。

 2枚目の画像は、最初の階段をのぼってすぐのところにおいてある「馬碑」(1967)。

 後ろに置いてあるのは、本田さんの肖像写真だ。



 中央が「裸婦」(制作年不詳)。
 左と右は「母と子」(同)。

 彼の造形上の特徴は、写実的なものからかなりデフォルメしたものまで多彩だということだろう。
 それも、晩年になるにしたがって抽象傾向を強めた―などと年代によって異なるいうことではなく、自在に作風を変えているという感が強い。



 「牛」(1951)



 「馬頭」(1972)

 今回は、いちおう木がメインということだが、この作品のような金属もけっこうある。

 一定以上の年代にとって、馬という題材はとてもなじみ深いものだろう。
 開墾も農作業も、馬がいなければとうていおぼつかなかったからだ。
 もちろん本田の場合、そういうノスタルジーよりも、造形上の興味が先立っているのだろうが。

 ところで、この作品で興味深いのは、頭部の左右で顔つきが異なって見えること。
 右の眼窩には目玉が入っていないようにも見える。

 こういうことは、図録の写真だけを見ていてはなかなかわからない。



 両側から撮った写真を上げておきます(言い忘れていたが、会場内は撮影可)。

 長くなってきたので、以下、次項。


2018年11月2日(金)~19年1月17日(木)、午前10時~午後5時(入場は30分前まで)。月曜休み(祝日の場合は翌火曜休み)、12月28日~1月3日も休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)



・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分

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