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■楢原武正展 (2019年1月8~20日、札幌)

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 毎年1月に、ギャラリー大通美術館の全館を使い、「大地/開墾」を題した個展を開いている札幌の楢原武正さん。
 文字を書いた作品や平面作品メインの個展だった時期もありましたが、昨年からは、巨大なインスタレーションと、壁掛け型作品の双方を展示する以前のスタイルに戻っています。
 作品の迫力といい、一枚一枚手書き(!)の案内状といい(まだ札幌市内の一部ギャラリーには残っているようです)、とても今年喜寿(77歳)を迎える人とは信じられません。脱帽です。



 インスタレーションは、廃材やトタンを黒く塗って、奥の一角を埋め尽くしているという点は、従来と同じです。
 ただしこれまでは、くぎを打ち付けた球体や塔のような形状の立体、木片などが、トタンを並べた上に、たくさん転がっていました。今回の個展では、これがほとんどなく、今年の最大の特徴になっているといえそうです。 

 これ以外に、巨大な作品は2点。
 北側の壁に貼られている平面作品は、幅7~8メートルはありそうです。
 ボール紙や新聞紙を支持体とし、上下に大きく黒と白に塗り分けられています。
 白を取り入れたのは昨年からです。それまで楢原さんの作品は黒一色でした。


 
 東側の壁にも大きな平面作品がいっぱいにかかっています。
 こちらは新聞のチラシを活用しています。



 中型の平面作品は33点。
 目立つのが、まきストーブを解体して貼り付け、茶や黒の着彩を施した作品です。
 廃材を燃やしているせいか楢原さんのストーブは毎年のように壊れてしまうそうです。
「もったいないですね」
というと
「いや、こうして(作品に)なっているわけだから」
と楢原さんは笑います。
 トタン板の表面にグラインダーでびっしり傷を付けた作品もあります。

 このほか、小品が十数点、手前の小部屋に並んでいました。

 楢原さんの作品はどれも、日常の膨大な行為が集積されたものです。
 見た際のインパクトもさることながら、それを支える日々の営みの果てしなさが、作品世界に厚みを与えているのだと思います。

 画像ではその迫力をじゅうぶんに伝えきれないので、ぜひ会場に足を運んでみてください。


2019年1月8日(火)~20日(日)午前10時~午後7時(最終日~5時)、会期中無休
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5 大五ビル)

関連記事へのリンク
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楢原武正展 大地/開墾<2014-1> 大通美術館にて黒い種子をうえる

(このエントリの個展で発表されていた自筆年譜を引用します)

1942年 十勝管内広尾町に生まれる

1990年 テンポラリースペース(札幌)の個展から題名を「大地開墾」とし、札幌、東京、帯広、芦別、上砂川、ニセコ、小樽銭函等で本格的にインスタレーションの仕事を展開、現在に至る。

2000年 個展「1976~2000年」(ギャラリー大通美術館、札幌)
 01年 個展(ギャラリー大通美術館、札幌)
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 02年 個展(this is gallery、札幌)
 03年 個展(ART-MAN Gallery、札幌)
 04年 個展(ギャラリー大通美術館、札幌)
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 05年 個展(ギャラリー大通美術館、札幌)
 06年 個展(ギャラリー大通美術館、札幌)
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