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■坪内一真写真展 ON THE ROUTE-ささやかな自由- (2019年1月11~27日、札幌)

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2007年に東京から札幌に移り、営業の仕事に就いた。その道すがら目にした景色はとても鮮やかで、子どもの頃に食い入るように眺めた電車の車窓からの景色をふと思い出させた。僕はコンパクトカメラを鞄の中に入れておくようになった。ルート営業という決められた道の途中でもカメラを介して新しい世界に目を向けられる。あてどない旅に出るわけにはいかない今の僕にとって、それは救いのようなものであり、ささやかな自由なのだと思った。


 作者のことばに、あらためて付け加えることはあまりないように思う。

 札幌のなにげない風景写真27枚。
 夕方の新川とか、豊平川にかかる南22条大橋とか、真駒内のさけ科学館など一部をのぞくと、筆者にもどこを撮ったのかわからない。
 けっして絶景ではなく、人間も点景でしか写っていない、何の変哲もないスナップなのに、心にしみる。

 なぜだろう。



 案内状にも印刷されていた作品が、会場のいちばん最初に飾られていた(冒頭画像の右端)。

 色づいた雲の自然なグラデーションを見て、これらの写真が、デジタルではなく、カラーフィルムで撮影されていることに気づいた。

 ギャラリーの方によると、大きなプリントは東京の貸し暗室で、小さめのプリントは自宅で、それぞれ自ら現像・焼き付けを行っているという。

 モノクロフィルムを自分でプリントしている人はいるが、カラーというのは、どういうふうにやっているのか、筆者にはちょっと想像できない。ごめんなさい。

 そして、デジタルカメラの草創期であればともかく、プロもほとんどデジタルで撮る時代になって久しいこの時代になお、フィルムで撮った写真のほうが見る人の心をやわらかくするということが、ほんとうに不思議なことだと思う。

 会場には、リコーのコンパクトカメラ「GRIs」が置かれていた。

 忙しくて撮影に出かける余裕のない人や、旅に行く休日のない人にも、希望を与えるような写真展だなと、個人的には感じた。

 
 坪内さんは瀬戸正人氏主催の「夜の写真学校」、須田一政氏主催の「須田塾」に参加して写真を学び、東京では個展も開いているが、札幌では初めて。



2019年1月11日(金)~27日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー創(札幌市中央区南9西6)


・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイ・アール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分



※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分

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