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■気迫の画家 高野次郎作品展(2019年1月4日~ 3月3日、室蘭)

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 高野次郎さんの絵を見るのは初めてである。

 1905年(明治38年)、東京生まれで、室蘭に渡って栗林商会に就職した。亡くなったのが1986年。



 作品は44点で、うち26点が油彩。残りはデッサン。

 いずれも、会場の室蘭市民美術館あるいは「美術館をささえる会」の所蔵である。



 デッサンにはさすがに手堅いが、防空ずきんを着けた子どもや和装の女性などもあるのは、時代を感じさせる。

 油彩の方は一口で言うと、自由闊達かったつな画風。よく言えばのびのびと、細かい部分にこだわらず、風景や人物を描いているといえるが、悪くいえば塗り方が大まかであり、乱雑とか奔放とかという感想を抱く人もあるかもしれない。

 中村彝に師事したと、年譜にあるから、日本的フォーブに連なる一人だといってよさそうだ。抽象画はない。



 1970年「日暮れのカフェ」は、室内に黄色い灯がいくつもともり、テーブルについている人々は青系で表現されている。屋外には、傘をさす人々も見え、全体的に原色がちりばめられた華やかな画面だ。

 一方で1962~63年ごろの「屋根」「古都パリ」といった作品は、低い家並みが続き、暗いトーンで覆われている。やはり、筆遣いはいささか荒っぽい。



 「公園秋色」には

「TAKANO JARDIN OU LUXEMBOURG」

とサインが入っている。ほかにも同様のサイン入りの絵が何点かあり、よっぽどパリで制作できるのがうれしかったんだろうなと思う。





 高野さんは独立美術と全道展に出品していた。

 全道展では1962年に会友になり、69年に会員に推挙されている。

 また、室蘭美術協会の会長を長く務めたほか、室蘭市文化連盟などのトップにもついている。

 特筆すべきなのは、1947~67年に市議を務め、議長にもなった。

 室蘭市といえば市長が高名な書家(長谷川遅牛)だったことは知っていたが、議長が画家だったとは、驚きだ。

 市長と議長が芸術家だったマチは、珍しいだろう。







2019年1月4日(金) ~ 3月3日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)

※月曜日休み(祝日は開館)、1月15、16日、2月12、13日休み

室蘭市民美術館(室蘭市幸町6)



参考□北海道ニュースリンクの、室蘭民報の記事







・JR室蘭駅から640メートル、徒歩7分

・道南バス「市役所前」から430メートル、徒歩6分

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