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Channel: 北海道美術ネット別館
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■Re:mix しばりナシのいじりっこ写真展 (2019年3月15~27日、札幌)

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(一部文章を削除しています)

 「写真」は「真を写す」と書く。
 photograph の訳語としてはいかがなものかーという意見は古くからあるが、ともあれ写真は、外界にある事物をそのまま取り込むことができると、素朴に信じられてきたフシがある。
 しかし、そんな単純なことなのか? 「真実」なんてそんなにすぐに分かるものではないんじゃないのか?
 そういう疑問を抱かせる、ユニークな写真展が開かれている。

 出品しているのは
舘盛 憲道
Aison
岸本 岳春
Kazuko Kishi
Daisuke Shimakura
Kenji Mangetsu
ヤマダ ナオミ
の7氏。
 各自が撮った、海外・道内の風景や、人物などの写真を並べているのは普通だが、おもしろいのはそれぞれ撮った写真のRAWデータを、他のメンバーが自由に加工したものも、一緒に展示していることだ。

 それぞれ、オリジナルの写真を下段に、他人がプリントした写真を上段に並べている。
 誰が加工するかは、くじで決めたそうだ。

 一見して、同一のプリントがほとんどないことがわかる。
 題も違うので、受ける印象はかなり異なってくる。
 冒頭画像の左端のように、自分の手元にあるイメージを重ね焼きした作品も散見される。
 撮影者本人がモノクロで焼いたものを、他人がカラーに戻した作品や、トリミングの範囲が全く異なるものも多い。

 画像2枚目の「酔って候」と「陸奥夕景 みちのくのゆうひ」に至っては、元の写真が夜の飲み屋街なのに、加工した写真は明るさをぐっと持ち上げた結果、最初は見えていなかった女性なども姿を現し、すっかり別の写真といってもいいぐらいの変わりようだ。

 これは、どっちが正しくて、どっちが加工した現実ーというような単純な話ではないだろう。
 視覚といえども人によって異なるし、現像・プリント時のちょっとした調整で、現れるイメージはがらりと変わってくるということだ。

 もっとも、今回の写真展は、そういう哲学的な問題意識から出発したというよりは、音楽のカバーやリミックスを写真でやってみたらどうなるだろう? という、面白がりの精神から始まったようだ。もちろん、それも大いに有り、だと思う。

 そんなことを考えながら歩いていると、あるポップスのカバー曲が聞こえてきて、おもわずニヤリとさせられた。


2019年3月15日(金)~27日(水)正午~午後10時(日祝~6時)、第1・3・5日曜は休み
画廊喫茶チャオ(札幌市北区北24西4 モンレーブ24ビル3階 https://d.facebook.com/ciaocafe1993/)


https://map.goo.ne.jp/map/latlon/E141.20.52.831N43.5.17.620/zoom/11/



・地下鉄南北線「北24条駅」1番出入り口から徒歩数十秒

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