(承前)
ポルトギャラリーは3階にも部屋があり、末次弘明さんと手塚昌広さんが絵画を展示している。
冒頭画像の左側は、末次さんの6枚組み「Sigh of fireball」。
筆者は三越の包装紙を思い出してしまったが、以前彼がアクセントのように展示空間に置いていたリンゴをも思わせるし、何より、それぞれのタブローの天地左右とは何なのかーといった事柄について考えさせる。
末次弘明「no title」。
今回は、とても同じ人の手になる作品とは思えないほど画風がそれぞれ異なるのが特徴だ。
こちらも6枚組みだが、筆の走り具合が即興的な印象を与える。
「Reflection」
この絵を見たとき、深く静かな感動を覚えた。
たしかにマーク・ロスコを連想させるのは確かなのだが、酷似しているとはとうてい言いがたい。
暗い中に光が浮かび上がるという点で、野本醇を思わせるが、やはり見た目はまるで異なる。
なにより、表面が平滑な部分と、ごつごつした部分の対比が効果的だ。
下地には用いられているのかもしれないが、少なくとも表面からは有彩色が見えない。
沈んだモノトーンの、シンプルな画面からは、いろいろなものが読み取れそうだ。
たとえば、日常の暗さと、その向こう側からさしてくる希望の光。
あるいは、東日本大震災など相次ぐ自然災害の犠牲者と、鎮魂。
手塚さんは道展会員で、行動展にも出品している。
作品は、3階の壁の過半数を占めているほか、1階にも大作2点を展示し、精力的なところをみせている。
3階会場は、べつに嫌みでもなんでもなく、1980~90年代のイケてる現代アートのギャラリーのような雰囲気を漂わせていた。
両端(ギャラリーの壁延長の短い2辺)にかけてあるのが「Relations」。
左側の壁の青い2点が「layer」。
右側の壁に並んだ6点が「face」。
画像では分かりづらいが、ビニールが絵の具の飛沫をはじいたときのような凹凸が画面を覆っている。
筆者には、マチエールが生命線の絵画のように感じられる。
手塚さんの絵は、なんらかの形や、色の配置が重要性を持っているというよりも、マチエールが大きな個性を有しているといえそうだ。
1階に展示してある2点の大作。これは「ten」。
手塚さんの作品では珍しいと思うのだが、図と地がわりあいはっきりしていて、ザオ・ウーキーや、モーリス・ルイス(手法が全く異なるのは承知してます)などを思い出させる。「ザ・抽象画」という趣だ。
これも「Relations」と題されている。
こちらが手塚さんの作品としては珍しいのは、等間隔で小さな突起が並んでいること。
背景の色は虹のように美しいグラデーションをなしている。
以上、同一の展覧会を、四つの記事にわけて紹介してみました。
2019年3月9日(土)~24日(日)午前10時~午後7時(最終日~5時)
ポルトギャラリー(札幌市中央区南1西22 北翔大学北方圏学術情報センター1階・3階)
※対話による鑑賞ワークショップ=3月23日(土)午後1時20分。ファシリテーター山崎正明さん。※ギャラリートーク「芸術と心理学の接点」=同日午後3時
関連記事へのリンク・末次さん
■末次弘明展「Sigh of fireball」(2018~19)
■山是山水是水(ヤマハコレヤマミズハコレミズ)北翔大学北方圏学術情報センタープロジェクト研究美術グループ成果報告作品展 Work in Progress (2018)
■末次弘明個展 “mono” (2017)
■Golden Round (2017)
【告知】Golden Round
■第71回全道展(2016年6月)=末次さん出品。画像なし
■The songlines (2016年4月)
【告知】NO-DOアートプロジェクト―ポルト・由仁「夏の遠足2015」
■北翔大北方圏学術情報センタープロジェクト研究美術グループ研究報告展 Caustics (2015)
■Art in Progress 企画展「Timeless:時の肖像」 (2013)
【告知】絵画の場合2012 -最終章-
■末次弘明のまとめ展 (2012年)
関連記事へのリンク・手塚さん
■第15回高文連石狩支部美術部顧問展 (2019年1月、画像なし)
■15→16展 (画像なし)
(この項終わり)
ポルトギャラリーは3階にも部屋があり、末次弘明さんと手塚昌広さんが絵画を展示している。
冒頭画像の左側は、末次さんの6枚組み「Sigh of fireball」。
筆者は三越の包装紙を思い出してしまったが、以前彼がアクセントのように展示空間に置いていたリンゴをも思わせるし、何より、それぞれのタブローの天地左右とは何なのかーといった事柄について考えさせる。
末次弘明「no title」。
今回は、とても同じ人の手になる作品とは思えないほど画風がそれぞれ異なるのが特徴だ。
こちらも6枚組みだが、筆の走り具合が即興的な印象を与える。
「Reflection」
この絵を見たとき、深く静かな感動を覚えた。
たしかにマーク・ロスコを連想させるのは確かなのだが、酷似しているとはとうてい言いがたい。
暗い中に光が浮かび上がるという点で、野本醇を思わせるが、やはり見た目はまるで異なる。
なにより、表面が平滑な部分と、ごつごつした部分の対比が効果的だ。
下地には用いられているのかもしれないが、少なくとも表面からは有彩色が見えない。
沈んだモノトーンの、シンプルな画面からは、いろいろなものが読み取れそうだ。
たとえば、日常の暗さと、その向こう側からさしてくる希望の光。
あるいは、東日本大震災など相次ぐ自然災害の犠牲者と、鎮魂。
手塚さんは道展会員で、行動展にも出品している。
作品は、3階の壁の過半数を占めているほか、1階にも大作2点を展示し、精力的なところをみせている。
3階会場は、べつに嫌みでもなんでもなく、1980~90年代のイケてる現代アートのギャラリーのような雰囲気を漂わせていた。
両端(ギャラリーの壁延長の短い2辺)にかけてあるのが「Relations」。
左側の壁の青い2点が「layer」。
右側の壁に並んだ6点が「face」。
画像では分かりづらいが、ビニールが絵の具の飛沫をはじいたときのような凹凸が画面を覆っている。
筆者には、マチエールが生命線の絵画のように感じられる。
手塚さんの絵は、なんらかの形や、色の配置が重要性を持っているというよりも、マチエールが大きな個性を有しているといえそうだ。
1階に展示してある2点の大作。これは「ten」。
手塚さんの作品では珍しいと思うのだが、図と地がわりあいはっきりしていて、ザオ・ウーキーや、モーリス・ルイス(手法が全く異なるのは承知してます)などを思い出させる。「ザ・抽象画」という趣だ。
これも「Relations」と題されている。
こちらが手塚さんの作品としては珍しいのは、等間隔で小さな突起が並んでいること。
背景の色は虹のように美しいグラデーションをなしている。
以上、同一の展覧会を、四つの記事にわけて紹介してみました。
2019年3月9日(土)~24日(日)午前10時~午後7時(最終日~5時)
ポルトギャラリー(札幌市中央区南1西22 北翔大学北方圏学術情報センター1階・3階)
※対話による鑑賞ワークショップ=3月23日(土)午後1時20分。ファシリテーター山崎正明さん。※ギャラリートーク「芸術と心理学の接点」=同日午後3時
関連記事へのリンク・末次さん
■末次弘明展「Sigh of fireball」(2018~19)
■山是山水是水(ヤマハコレヤマミズハコレミズ)北翔大学北方圏学術情報センタープロジェクト研究美術グループ成果報告作品展 Work in Progress (2018)
■末次弘明個展 “mono” (2017)
■Golden Round (2017)
【告知】Golden Round
■第71回全道展(2016年6月)=末次さん出品。画像なし
■The songlines (2016年4月)
【告知】NO-DOアートプロジェクト―ポルト・由仁「夏の遠足2015」
■北翔大北方圏学術情報センタープロジェクト研究美術グループ研究報告展 Caustics (2015)
■Art in Progress 企画展「Timeless:時の肖像」 (2013)
【告知】絵画の場合2012 -最終章-
■末次弘明のまとめ展 (2012年)
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■第15回高文連石狩支部美術部顧問展 (2019年1月、画像なし)
■15→16展 (画像なし)
(この項終わり)