星景写真の第一人者、沼澤茂美さんの写真展。
カラープリント10枚のほか、このギャラリーらしく大型モニター2台でスライドショーが行われている。
星景写真という言葉に、なじみのない人もいるかもしれない。
星空そのものの写真を撮る人は以前からいた。一般的な写真趣味というよりは、星座や天体観測の一環といった趣が強かった。
それに対し、地上の風景と星空を同じ画面に収めるのが星景写真で、1990年代頃から広まった。
ただ、これまでも何度か書いてきたことだが、星の写真は、写真のデジタル化によって最も激変した分野といっていい。
フィルムの時代は、感度が低く、ISO(当時はASAといった)400は「高感度フィルム」といわれていた。
1600、3200といったフィルムも市販されてはいたが、粒状性が低く、そのままでは星景写真には向かないとされた。
感度が低いので、暗い星空を撮るには、シャッターを開ける時間を長くし、わずかな光を、時間をかけてフィルムにおさめるしかない。
星空は動いている(動いているのは地球なのだが)。シャッターを数分ないし数十分間開けっぱなしにすると、星の光は円弧になってフィルムに写し取られる。
レコード盤のような星空の写真を見たことのある人も多いだろう。
それを避けるためには、天の動きに同期して星を追尾する「赤道儀」という器具にカメラを取り付けるしかない。これもコツが必要だ。
ところがデジタル化に伴いカメラの感度は急激に上がった。
いまではISO12800ぐらいは当たり前である。
そこまで感度を上げると、ノイズが出るなど、画面の描写は粗くなるのだが、それでも、1600~3200ぐらいなら大きく引きのばしてプリントしてもほとんど問題のないカメラが一般的になった。
そうなると、光のない暗い土地で、三脚を立ててシャッター速度数十秒で撮影すれば、星がほぼ点の像になっている写真が、以前よりもはるかに容易に撮影できるようになったのだ。
星景写真ほど、この技術革新の恩恵を受けている分野は、あまりないだろう。
沼澤さんの写真も、この恩恵に十分浴している。
マーガレット畑、合掌造の集落、ポプラ並木など、さまざまな地上の風景とオリオン座などを、いっしょにうつした写真が並ぶ。
水田の水に天の川が反射して見えている一枚など、かつてのフィルムカメラではまずとらえられなかった光景だ。
沼澤さんの特徴は、たとえシャッター開放時間が数十秒間でも、赤道儀を使用している作品が多いことだ。
数十秒なら、カメラを固定していても、星はほとんど点になって映る。赤道儀を用いるとむしろ、地上の風景のほうがブレてしまうのだが、沼澤さんは星のほうを精密に写すことにこだわったのだろう。
それにしても、「天の川満ちる日本海」など、F1.4のレンズを絞り開放にして、ISO5000、シャッター速度13秒である。
F1.4程度の明るいレンズは昔もあったが、いくら明るいからといってF1.4で使うなんて昔は考えられなかった。画像の質を維持するには、もう一絞りぐらいは絞るのが通例だった。
そして、「ISO5000」という高感度でも、プリントにはノイズ発生などが全く見られない。
なんだかソニーのデジタルカメラの宣伝をしているような文章の流れになってきたので、このへんでやめるが、とにかく、近年のカメラの進歩には驚くばかりなのである。
2019年3月16日(土)~28日(木)午前11時~午後7時
αプラザ(札幌市中央区南1西3 ソニーストア札幌2階)
カラープリント10枚のほか、このギャラリーらしく大型モニター2台でスライドショーが行われている。
星景写真という言葉に、なじみのない人もいるかもしれない。
星空そのものの写真を撮る人は以前からいた。一般的な写真趣味というよりは、星座や天体観測の一環といった趣が強かった。
それに対し、地上の風景と星空を同じ画面に収めるのが星景写真で、1990年代頃から広まった。
ただ、これまでも何度か書いてきたことだが、星の写真は、写真のデジタル化によって最も激変した分野といっていい。
フィルムの時代は、感度が低く、ISO(当時はASAといった)400は「高感度フィルム」といわれていた。
1600、3200といったフィルムも市販されてはいたが、粒状性が低く、そのままでは星景写真には向かないとされた。
感度が低いので、暗い星空を撮るには、シャッターを開ける時間を長くし、わずかな光を、時間をかけてフィルムにおさめるしかない。
星空は動いている(動いているのは地球なのだが)。シャッターを数分ないし数十分間開けっぱなしにすると、星の光は円弧になってフィルムに写し取られる。
レコード盤のような星空の写真を見たことのある人も多いだろう。
それを避けるためには、天の動きに同期して星を追尾する「赤道儀」という器具にカメラを取り付けるしかない。これもコツが必要だ。
ところがデジタル化に伴いカメラの感度は急激に上がった。
いまではISO12800ぐらいは当たり前である。
そこまで感度を上げると、ノイズが出るなど、画面の描写は粗くなるのだが、それでも、1600~3200ぐらいなら大きく引きのばしてプリントしてもほとんど問題のないカメラが一般的になった。
そうなると、光のない暗い土地で、三脚を立ててシャッター速度数十秒で撮影すれば、星がほぼ点の像になっている写真が、以前よりもはるかに容易に撮影できるようになったのだ。
星景写真ほど、この技術革新の恩恵を受けている分野は、あまりないだろう。
沼澤さんの写真も、この恩恵に十分浴している。
マーガレット畑、合掌造の集落、ポプラ並木など、さまざまな地上の風景とオリオン座などを、いっしょにうつした写真が並ぶ。
水田の水に天の川が反射して見えている一枚など、かつてのフィルムカメラではまずとらえられなかった光景だ。
沼澤さんの特徴は、たとえシャッター開放時間が数十秒間でも、赤道儀を使用している作品が多いことだ。
数十秒なら、カメラを固定していても、星はほとんど点になって映る。赤道儀を用いるとむしろ、地上の風景のほうがブレてしまうのだが、沼澤さんは星のほうを精密に写すことにこだわったのだろう。
それにしても、「天の川満ちる日本海」など、F1.4のレンズを絞り開放にして、ISO5000、シャッター速度13秒である。
F1.4程度の明るいレンズは昔もあったが、いくら明るいからといってF1.4で使うなんて昔は考えられなかった。画像の質を維持するには、もう一絞りぐらいは絞るのが通例だった。
そして、「ISO5000」という高感度でも、プリントにはノイズ発生などが全く見られない。
なんだかソニーのデジタルカメラの宣伝をしているような文章の流れになってきたので、このへんでやめるが、とにかく、近年のカメラの進歩には驚くばかりなのである。
2019年3月16日(土)~28日(木)午前11時~午後7時
αプラザ(札幌市中央区南1西3 ソニーストア札幌2階)