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Channel: 北海道美術ネット別館
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■硝子五者五様 (2019年5月25日~6月5日、札幌)

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 「悠遊舎ぎゃらりぃ」札幌移転第2弾は、東北や北陸など本州に住むガラス作家5人を取り上げた。

 「北海道はガラスが盛ん」
という漠然としたイメージを持っていたが筆者だったが、その先入観を打ち砕くにはじゅうぶんなグループ展だった。

 もちろん道内にもすぐれたガラスの作家はいる。
 しかし、本州には、高度な技法で独創的な作品を手がける作家がたくさんいるのだ。
 ここで展示しているのは、その一部だろう。道内の関係者は安穏とはしておれないのではないかということを、ひしひしと感じた。

 冒頭画像は、木越あい(東京)。
 「ケモノ玉」というユニークなシリーズで、ナメクジなどを模している。

 今回は出品していないが、個展などでは、ストーリー仕立てになった絵をガラスに描く、まるで絵本のようなシリーズもあるという。


 
 後ろ側の2点は西垣聡(富山)の花器「2 colors」。
 青とラベンダー、オレンジ色とピンクの組み合わせが清新だ。

 西垣さんはこのほか、色のついていないカットグラス類も出していて、手作りとは思えない表面のシャープさに驚かされる。



 奥島圭二(滋賀)。
 きらびやかな色彩が、まるでクリムトの絵画を思わせる豪華さで目を引く「玻璃片口」など。

 奥島さんは漆など異素材を積極的に用いているとのこと。
 「鬼灯ほおずき姿器小箱」は、まずホオズキの形を作ってから直方体に成形するという難しい手法を駆使している。

 2012年には、札幌芸術の森が行っていたコンペ「ビアマグランカイ」に入選している。



 大豆生田綾子(横浜)。
 栃木の出身で、大豆生田おおまめうだはそこの姓らしい。
 大学では染色を学んでいたそうだが、その後江戸切子の職人に入門、さらにサンドブラスト技法を習得したといい、画像のグラスにはふたつの技法が用いられているのがわかる。

 このほか「鉢 蜻蛉」「グラス 金麦」など、オレンジの着色が美しい作品もあった。

 作品それ自体の話ではないが、鏡の上にガラス器を置くと、ずいぶん映える陳列になるんですね。
(ただ、写真に撮るとなると、案外難しい)




 市川知也(滋賀)のぐいのみや花入れ、一輪挿しなど。
 ほかに片口やコースターなど多彩な作品が並ぶ。

 とくに「雪舟」と題した器は、モノトーンながら白や灰色がまじりあう表面が、深みのある世界を感じさせて目を引いた。


 ガラスとひとくちに言っても、これほど多彩な作品があるとは!
 オープンして日の浅い悠遊舎ぎゃらりぃだが、ふだん見る機会の少ない、高度な道外勢の作品に触れて、刺戟を受けている。
 15日からの陶芸グループ展も楽しみだ。 


2019年5月25日(土)〜6月5日(水)午前10時~午後6時、木・金曜休み
悠遊舎ぎゃらりぃ SAPPORO(札幌市白石区本郷通11北 サンフラワーズ本郷A)



・中央バス「72 南郷線」(札幌駅前ー南1条ー南4条ー地下鉄白石駅ーJR平和駅)で「本郷通10丁目」降車、約60メートル、徒歩1分
※便利ですが、1時間に1本

・地下鉄東西線「南郷13丁目駅」1番出入り口から約420メートル、徒歩6分

・ジェイ・アール北海道バス「白石本通10丁目」から約520メートル、徒歩7分

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