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■トリビュート 砂澤ビッキに 詩[柴橋伴夫]と書[須田廣充]による (2018年11月28日~12月9日、札幌)

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 須田廣充さんは1950年浜益村(現石狩市浜益区)生まれ、江別在住の書家。
 北海道書道展の会員、グループ「游」のメンバーで、近年は、アメリカインディアンの言葉を題材にした個展を開くなど旺盛な活動をみせています。これで2年連続の個展となり、道内の書家としては珍しいと思います。

 今回は北米先住民族からうってかわって、詩人で美術評論家の柴橋伴夫さんが書いて出版した評伝『風の王 砂澤ビッキの世界』が題材になっています。


 メインのギャラリーには、ビッキの木彫が1点置かれています。
 フクロウを彫ったもので、以前は、北海道を代表する詩人だった故河邨文一郎さん(「虹と雪のバラード」の作詞者)の所蔵だったそうです。

 そして、柴橋さんの短詩「静かなり火の神燃えてチカプウンニ(近文)」「旗立てし風のシャクシャイン怒りの扉」など25篇を、須田さんが書いています。すごいのは、25点すべて書法を変えて書いていること。
 大規模な書展の近代詩文書のコーナーに行くと、作品のバリエーションに意外と乏しいことがあって驚くことがありますが、須田さんの場合はそれとは逆で
「1人でこんなに書くか!」
とびっくりさせられます。



 横書きを取り入れたり、淡墨や、余って色が変わった墨を使ったり…。
 罫線を入れているのは須田さんらしい作ですし、「神の舌」や「四つの風」をよんだ詩では絵もかいて、書画一致の遊び心をみせています。
 大胆に天地の余白をとってみせたり、針のようにとがった細く直線的な文字を隙間なく詰め込んだりといった工夫も随所にみられ、ときには激しく、ときにはエロティック。
 これまで須田さんが書いてきた多種多様な書法を、惜しみなくつぎ込んだといえる書展になっています。



 一方、カフェスペースのほうは、長めの詩「風の王 BIKKY」を、20メートルの長さに書いています。
 須田さんがこれまで手がけてきた中でも、最大の作品だそうです。
 こちらはIからVIまでの各節、調子を変えずに書き上げています。

 須田さんは今回の作品について
「楽しかったし、ラクだった。ビッキの彫刻のイメージを思い浮かべて書けばいいんで」
と話します。これまでは、ことばの持つイメージをどう作品に具体化するかというのが難しさでしたが、ビッキの場合は彫刻家なので、書にする際のとっかかりがあるということなのかもしれません。
 もちろん「ラク」といっても、創作の苦しみや大変さはあるでしょうが、今回の須田さんの作品はとりわけ運筆の迷いがなくスムーズに書けていることが、筆者のようなしろうと鑑賞者にも伝わってきます。



 なお、カフェ手前の小スペースには、柴橋さんがこれまで撮ってきた資料写真が展示されています。
 大同ギャラリーで、阿部典英さん、矢崎勝美さん、砂澤ビッキが3人展を開いたことがあったんですねえ。 


2018年11月28日(水)~12月9日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)、月・火曜休み
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)

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札幌の美術 2003 ※画像なし





茶廊法邑への道(アクセス)

・地下鉄東豊線「環状通東駅」2番出入り口から約800メートル、徒歩10分

・札幌駅北口から中央バス「東64 東65 東営業所行き」で「本町1条2丁目」降車、約170メートル、徒歩3分
・地下鉄南北線「北18条駅」で、中央バス「東62 本町線 東営業所行き」に乗り継ぎ、「本町2条1丁目」降車、約470メートル、徒歩6分

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