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本郷新「緑の環」 苫小牧の野外彫刻(3)

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(承前)

 苫小牧市が1973年に「開基100年」を迎えた際、「新しい世紀のまちづくりにあたって、人間環境都市宣言をし、そのシンボルとして」設置した像。
 人間環境都市宣言とは

苫小牧市は、開基百年にあたり、緑と太陽の大自然を擁するかけがえのない郷土を守り、人間を主体とした、公害のない、健康で安全な都市環境の創造を決意し、ここに「人間環境都市」を宣言する。

という文面。まだ公害と環境破壊が大きな社会問題とされていた1973年という時代を感じさせる。
 ただし制作、設置は1974年である。


 と、まぁここまではよくある話なのだが、苫小牧市が珍しいのは、同じ像を市内5カ所に建立したことである。
 当時の市勢要覧には
「この5基の像は、苫小牧市を取り囲むように配置され、市民の一人ひとりに理想都市創造への決意を新たにしていただきたいとの願いがこめられています」
とあるが、同じ像が五つというのはユニークだ。

 本郷新記念札幌彫刻美術館によると、設置された5カ所は次の通り。

①苫小牧駅前
②苫小牧市役所前
③苫小牧総合体育館前
④国道36号(美々)
⑤国道36号(別々)

 このうち③は1993年に国道235号(静川)に移設している。
 ということは、20年間は本田明二「あおぞらの像」の近くに立っていたことになる。

 高さは2.8メートル。
 若枝を両手に高々と掲げる裸婦像―というのは本郷の得意とするモチーフだ。
 これが6メートル近い高さの台座に載っている。

 ここまでの三つのモニュメントに共通しているのはいずれも、やたらと高い台座である。
 札幌にも本郷新が冬季五輪を記念して建てた「雪華の像」があるし、函館の高田屋嘉兵衛像の台座も相当な高さだが、これほど高い台座の彫刻がそろっている街は、少なくとも道内にはない。
 どうして苫小牧市は彫刻を高い所に置くのが好きなのだろう。


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