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■第28回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 冨田美穂展ー反芻のかたち (2019年2月11~24日、札幌)

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 本年度の道銀芸術文化奨励賞を受賞した、冨田美穂さんの個展が、札幌で開かれました。



 賞の選考委員長を務めた前川公美夫さんの「選考にあたって」を、サイトからそのまま転載します。



 美術部門の冨田美穂さんは東京都の出身だが、武蔵野美術大学在学中に訪れた北海道の農場で牛に出会ってその姿と存在感に強く引き付けられ、卒業後は小清水町で酪農ヘルパーをしながら牛をモチーフに木版画の制作を行っている。大きな板に牛の毛を1本1本細かく彫刻刀で刻み込んでいったその作品は、ボリューム感を持って見る人に迫ってくる。そこには作者の牛に寄せる愛情と共に、制作に込めた迫力も感じられる。



 ほかに付け加えることは何もないぐらい、簡潔によくまとまった文章なのですが、それではあまりに芸がないので、もうすこし。



 冒頭画像は「701 板目全身図」。

 2枚目の画像は、その頭部です。



 182×273センチという超大作で、会場内で広角レンズをかまえても、全身が入りきれない大きさです。



 冨田さんによると、畳の大きさの「三六版」と呼ばれる木版画用の板を3枚使用。ギャラリーレタラで開いた2017年の個展の出品作《388全身図Ⅱ》をさらに上回るそうです。



 いずれも、昨年秋に、神田日勝記念美術館で展示されたものです(たぶん)。

 日勝の未完の絶筆「馬」の迫力に向き合うには、これぐらいの大きさが必要なのでしょう。



 日勝の「馬」の背景が板のまま残されているのはおそらく絶筆だからでしょうが、冨田さんはいつも木版画では背景を白く飛ばしています。

 これは単色の木版画のもつ強みだろうと思われます。



 ところで筆者は以前、あたかも彼女が木目を生かして牛の肌と毛を彫っているようなことを書いたことがありますが、これは完全な誤解でした。冨田さんは、牛の毛の流れを優先して掘り進めています。

 言い換えれば、制作過程で、板の目に逆らって彫らなくてはならない場面もあるということです。









 木版画はほかに「701」(56×70センチ)、「946」(42×42センチ)、「390」(53×70センチ)。



 「946」は版木も一緒に並んでいました。



 このほか、水彩「反芻2」、アクリル画「放牧地にて」、43点にもおよぶドローイング小品「一日一牛」。

 



2019年2月11日(月)~24日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)

らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店)





http://miho-tomita.jimdo.com

□ブログ「うしのつむじ」 http://miho-tomita.jimdo.com



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