第四十六回北海道抽象派作家協会展が4月16日(火)から21日(日)まで札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)で開かれるという案内状をいただいた。
その一隅に
<遺作展示>
佐々木 美枝子
とあった。
佐々木さんは道内の女性抽象画家の草分けである。
正確な生年を確認したことはないのだが、1923年(昭和8年)生まれらしい。
53年、菊地又男や渡辺伊八郎らとともに前衛美術グループ「ゼロ展」を、大丸ギャラリー(現スカイホール)で旗揚げ。
55年には「前衛展」と改称して、57年まで、改称前とあわせて6度出品する。
53年から全道展、自由美術展への出品も開始。全道展は56年までの4回で終え、それ以降は、道内の団体公募展からは距離を置いた。
自由美術では63年に会員となり、80年には自由美術協会賞も受けている。
自由美術北海道グループ展にも67年から、2005年?に退会するまで、毎年参加していた。
絵画はほとんど独学だが、自由美術の会員たちの手ほどきを受けたという。
自由美術のほかに発表の主な舞台としたのが、1973年に創立同人として発足に参画した「北海道抽象派作家協会」。
出入りが激しい団体だったが、今荘義男さんとただ2人だけのオリジナルメンバーとして、2016年まで毎年出品を続けた。
一方、個展については、筆者は見た記憶がない。
1989年に札幌時計台ギャラリーで個展を開いているらしい。
57年には熊谷明宏と2人展を大丸ギャラリーで開催。58、59年には、熊谷、小谷博貞、渡辺伊八郎とともに4人展を同ギャラリーで開いている。
筆者は、晩年の、まばゆいばかりの赤をふんだんに使った絵画が、佐々木さんらしい作品として印象に残る。
あるいは、ブレのある線による矩形が連なった作品である。
かっちりとしたカラーフィールドペインティングとは違う、一種のやわらかい味があった。
吉田豪介さんらが企画し1994年に道立近代美術館を借りて開いた『北海道アヴァンギャルドの潮流展』には、1959年の「作品」などを出品している。図録を見ると、鮮やかなイエローオーカーが全面を覆っている作品だ。
一方、さっぽろ文庫『札幌の絵画』の口絵図版に収録されている「作品」は、クリーム色系の濃淡が、やはり全面に広がっている。
これらを総合すると佐々木さんは、遠近法・透視図法的な描法を峻拒するとともに明瞭な図形や線も描かない、濃淡のあるオールオーバーな色面を特徴とする画家であった―ということができるかもしれない。
時には、画面に「Viva la Revolution!」とかき入れることもあった。
日本語にすると「革命万歳!」といったところか。路地裏の落書きみたいなものだが、佐々木さんの手になると、どこか洒脱でおしゃれなのだった。
もっとも筆者は佐々木さんから政治や革命の話は聞いたことがない。
「(自由美術協会の代表的な画家)井上長三郎にはけっこうかわいがられたのよ」
と思い出を語る姿も、やはりおしゃれなのだった。
北海道抽象派作家協会展は4月16~21日の午前10時~午後5時。ただし、初日は午後1時から、最終日は午後4時まで。
佐々木さん、今荘さんのほか、同人として、小川豊、後藤和志、田中季里、田村純也、名畑美由紀、三浦恭三、宮部美紀の計8氏が出品。
推薦作家として、會田千夏、堅田智子、木内弘子、田中郁子の4氏が参加する。
ご冥福をお祈りします。
関連記事へのリンク(佐々木さんの作品の大きな画像があるリンク先を前半に、画像が小さかったり無かったりする展覧会紹介を後半に掲載しています)
■第四十五回北海道抽象派作家協会展 (2018)=佐々木さんは出品せず
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014、佐々木さん特陳)
■北海道抽象派作家協会展秋季展 (2013)
■第37回 北海道抽象派作家協会展 (2010)
■第三十三回北海道抽象派作家協会秋季展 (2009)
■第三十五回北海道抽象派作家協会展 (2008)
■第三十四回北海道抽象派作家協会展 (2007。画像は、このときの出品作)
■03 自由美術北海道グループ展 (2003)
■第四十三回北海道抽象派作家協会展
■「SUMMER WAVE」展(2014、画像なし)
■抽象展 7 (2014、画像なし)
■北海道抽象派作家協会 同人と2009年展推薦者による小品展
■第36回北海道抽象派作家協会展 (2008)
■第31回北海道抽象派作家協会秋季展 (2007)
■第33回北海道抽象派作家協会展 (2006、画像なし)
■'04 第三十一回北海道抽象派作家協会展(画像なし)
■'03 北海道抽象派作家協会30周年記念展(画像なし)
■02第二十六回北海道抽象派作家協会秋季展(画像なし)
その一隅に
<遺作展示>
佐々木 美枝子
とあった。
佐々木さんは道内の女性抽象画家の草分けである。
正確な生年を確認したことはないのだが、1923年(昭和8年)生まれらしい。
53年、菊地又男や渡辺伊八郎らとともに前衛美術グループ「ゼロ展」を、大丸ギャラリー(現スカイホール)で旗揚げ。
55年には「前衛展」と改称して、57年まで、改称前とあわせて6度出品する。
53年から全道展、自由美術展への出品も開始。全道展は56年までの4回で終え、それ以降は、道内の団体公募展からは距離を置いた。
自由美術では63年に会員となり、80年には自由美術協会賞も受けている。
自由美術北海道グループ展にも67年から、2005年?に退会するまで、毎年参加していた。
絵画はほとんど独学だが、自由美術の会員たちの手ほどきを受けたという。
自由美術のほかに発表の主な舞台としたのが、1973年に創立同人として発足に参画した「北海道抽象派作家協会」。
出入りが激しい団体だったが、今荘義男さんとただ2人だけのオリジナルメンバーとして、2016年まで毎年出品を続けた。
一方、個展については、筆者は見た記憶がない。
1989年に札幌時計台ギャラリーで個展を開いているらしい。
57年には熊谷明宏と2人展を大丸ギャラリーで開催。58、59年には、熊谷、小谷博貞、渡辺伊八郎とともに4人展を同ギャラリーで開いている。
筆者は、晩年の、まばゆいばかりの赤をふんだんに使った絵画が、佐々木さんらしい作品として印象に残る。
あるいは、ブレのある線による矩形が連なった作品である。
かっちりとしたカラーフィールドペインティングとは違う、一種のやわらかい味があった。
吉田豪介さんらが企画し1994年に道立近代美術館を借りて開いた『北海道アヴァンギャルドの潮流展』には、1959年の「作品」などを出品している。図録を見ると、鮮やかなイエローオーカーが全面を覆っている作品だ。
一方、さっぽろ文庫『札幌の絵画』の口絵図版に収録されている「作品」は、クリーム色系の濃淡が、やはり全面に広がっている。
これらを総合すると佐々木さんは、遠近法・透視図法的な描法を峻拒するとともに明瞭な図形や線も描かない、濃淡のあるオールオーバーな色面を特徴とする画家であった―ということができるかもしれない。
時には、画面に「Viva la Revolution!」とかき入れることもあった。
日本語にすると「革命万歳!」といったところか。路地裏の落書きみたいなものだが、佐々木さんの手になると、どこか洒脱でおしゃれなのだった。
もっとも筆者は佐々木さんから政治や革命の話は聞いたことがない。
「(自由美術協会の代表的な画家)井上長三郎にはけっこうかわいがられたのよ」
と思い出を語る姿も、やはりおしゃれなのだった。
北海道抽象派作家協会展は4月16~21日の午前10時~午後5時。ただし、初日は午後1時から、最終日は午後4時まで。
佐々木さん、今荘さんのほか、同人として、小川豊、後藤和志、田中季里、田村純也、名畑美由紀、三浦恭三、宮部美紀の計8氏が出品。
推薦作家として、會田千夏、堅田智子、木内弘子、田中郁子の4氏が参加する。
ご冥福をお祈りします。
関連記事へのリンク(佐々木さんの作品の大きな画像があるリンク先を前半に、画像が小さかったり無かったりする展覧会紹介を後半に掲載しています)
■第四十五回北海道抽象派作家協会展 (2018)=佐々木さんは出品せず
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014、佐々木さん特陳)
■北海道抽象派作家協会展秋季展 (2013)
■第37回 北海道抽象派作家協会展 (2010)
■第三十三回北海道抽象派作家協会秋季展 (2009)
■第三十五回北海道抽象派作家協会展 (2008)
■第三十四回北海道抽象派作家協会展 (2007。画像は、このときの出品作)
■03 自由美術北海道グループ展 (2003)
■第四十三回北海道抽象派作家協会展
■「SUMMER WAVE」展(2014、画像なし)
■抽象展 7 (2014、画像なし)
■北海道抽象派作家協会 同人と2009年展推薦者による小品展
■第36回北海道抽象派作家協会展 (2008)
■第31回北海道抽象派作家協会秋季展 (2007)
■第33回北海道抽象派作家協会展 (2006、画像なし)
■'04 第三十一回北海道抽象派作家協会展(画像なし)
■'03 北海道抽象派作家協会30周年記念展(画像なし)
■02第二十六回北海道抽象派作家協会秋季展(画像なし)